保育士。学生時代に児童心理学を学び、幼少期の関わりがその後の人生を左右することに強い関心を持ち、自身の研究テーマとする。 3児の母で、長女の小受では全勝を果たす。現在6年目となる保育現場や幼児教室で本領発揮し、周囲から絶大なる信頼を得ている。 生活教育こどもと幼児園 http://kodomoto.tokyo/保育記事監修者プロフィール:伊藤美緒先生
「小学校入学」という大きな環境の変化を迎えるときに、親としては子どもが新しい環境に馴染(なじ)めるのか不安でたまりませんよね。そんな不安を少しでも和らげ、より良いスタートを切ることができるよう、小さい頃から身につけておきたい五つの「基本的生活習慣」を確立させるポイントをお伝えします。
「基本的生活習慣」とはどのようなものなのでしょうか
乳児期の頃はもちろん自分で何もできません。ですから、生活の全般において親が手厚く子どもの世話をする必要がありました。
しかし、成長と共に自分で身の回りのことをしていく必要がありますよ。子どもが育っていく中で、少しずつ大人が手を離してあげるときがやってきます。
日常生活における「基本的生活習慣」
「基本的生活習慣」とは、「食事・排せつ・睡眠・清潔・衣服の着脱」の五つの日常生活の基本を指し、「生活リズム」と表現される場合もあります。
子どもが心身ともに健康に育つためには、この五つのことを生活の基盤とすることがとても大切なのです。子どもそれぞれに個人差があるので、基本的習慣の確立する時期も仕方もさまざまです。他の子と比べることなく、親はゆったりと気長に構えましょう。
基本的生活習慣の乱れが指摘されている
平成18年の文部科学省の「基本的生活習慣の現状と課題」について調査では、6歳以下の約3割の幼児が夜22時以降に就寝していることが報告されています。この状態が続けば、学習意欲だけではなく体力や気力の低下が考えられます。生活の基盤が乱れるということは、心身ともに機能を低下させ、バランスを崩してしまう危険性があるといえるでしょう。
参照元:3.子どもの基本的生活習慣の育成に向けた取組・文部科学省
子どもは大人のことをよく見ています
子どもにとって身近な大人は「基本的生活習慣」を身につけるための最高のお手本です。子どもは親の言うことや行動をまねします。そのため、生活の中で子どもの模範となってあげたいものです。例えば、親や周囲の大人が食事のときには率先して「いただきます」や「ごちそうさま」と声に出してあげるとよいでしょう。
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それぞれのポイントを押さえましょう
先にあげた五つの「基本的生活習慣」を身につけるにあたって知っておいた方がよいポイントがあります。これはママだけではなく、子どもに関わる大人で情報を共有しましょう。みんなが同じスタンスで子どもと向き合うことが大切です。
「食事」と「睡眠」におけるポイント
食事をする際はこぼしてもいいようにシートを敷いておきましょう。また、スプーン・フォークを持たせる際は、お箸への移行を考慮し「上から」ではなく「下から」持たせてみるとよいでしょう。また、好き嫌いは「味覚の慣れ」も大切です。
小さな頃からいろいろな食べ物の味を覚えさせておくことで、少しでも好き嫌いを減らすことができるかもしれません。
「睡眠」は、子どもを大人の生活リズムに巻き込まないことが何より大切です。どうしようもないとき以外は子どもの生活リズムを狂わすことは避け、家族で「早寝・早起き」のできる環境づくりをつとめましょう。
「排せつ」の習慣を習得するためのポイント
「排せつ」は一人で後始末までできることが目標ですが、これには身体的な成長も必要です。なぜなら、1歳近くになるまでは子どものぼうこうの容積は小さく、排尿の間隔も短いからです。排せつをコントロールするには筋肉の十分な発達が欠かせませんが、1~2歳頃から少しずつ筋肉も成熟してきます。
そのため、子どもの「表情」から排せつのサインを読み取ることから大人のサポートは始まります。子どもの排せつのサインとなる表情を見たら、まずはトイレへ誘って座らせてみましょう。「トイレですることが気持ちいい」と子どもが感じられたらまずは成功です。
排せつについてはかなり個人差があるので、親は気長に構え、叱らないことも大切です。好きなキャラクターの下着を一緒に買いに行くなど、トイレに対するイメージが楽しいものになるよう環境を整えてあげましょう。
「衣服の着脱」におけるポイント
「衣服の着脱」は、自分で着る・脱ぐ、畳むまでができるのが望ましいです。難関はボタンですが、まずはボタンやボタンホールの大きな服を用意してください。子どもに「できそう!」と感じさせることが狙いです。最初はうまくいかずに、子どもがいらだつかもしれません。大人はその気持ちを受け止めて、サポートしつつできたことをたくさん褒めてあげましょう。身だしなみを整えることを覚えると、「清潔」への関心にもつながります。
「清潔」に保つ習慣を習得するポイント
「清潔」は手洗い・うがい・歯磨きなど、自分の身体の清潔を保つことが目標です。「きれいにすることは気持ちがいいこと」というのを実体験を通して覚えるとよいでしょう。手洗いなどをは家族みんなで実践しましょう。自ら進んでできるようになるまでは、大人が根気強く声を掛けてあげることが大切です。ハンドソープを子どもに選ばせたり、味付きのうがい薬を選んだり、子どもがより身近に感じられる工夫をしてみてはいかがでしょうか。
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小学生と高校生の2人の男の子の母です。海の近くに住んでいます。
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