深刻な「待機児童問題」はこれから子どもを産む女性、働くママとその家族にとって大きな不安材料です。そこで国や地域がどのような対策を打ち出しているのか、解決方法を探っていきます。ここではわが子を保育園に入園させるためにできる保活対策を考えてみましょう。
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待機児童問題の背景と待機児童が多い原因
そもそも少子化傾向にあるのに、保育園に入れない待機児童が多いのはなぜでしょうか。
その原因は、まず女性の社会進出の増加、雇用形態の変化による共働きの家庭が増えたことにあります。現在、25歳から44歳の結婚している女性の就業率は60%を超えています。
全世帯数からみても20%以上が共働き世帯となり、不景気で出産を機に退職するよりも働く選択をする女性が増えているのです。また、核家族化がすすみ、両親に孫であるわが子を預けることができない点も原因のひとつに挙げられます。しかし、その需要人数に対し、保育関連施設や保育士が不足しているため保育園が受け入れることができず、「待機児童」として入園待ちをしている状態にあります。
2019年4月の厚生労働省の発表によると、その数16,772人で減少傾向にあると発表されています。減少の背景として、企業主導型保育園などの整備が進んだこと、在宅ワークやリモートワークなど働き方の幅が広がったことも理由にありそうです。しかし、待機児童ゼロにはほど遠い数字となっています。
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国が取り組む「待機児童解消加速化プラン」とは?
現在、厚生労働省は「待機児童解消加速化プラン」を推し進めています。プラン内容は「待機児童の解消に向けて、平成25 年度からの2年間で約20 万人分、平成29 年度末までの5年間で合わせて約40 万人分の保育の受け皿を確保するため、自治体が行う保育所の整備や保育士確保などの取り組みに対して、国としてできるかぎり支援しようとするもの」だそうです。
具体的には、「保育施設」を増やすため、国有地を積極的に活用してくことです。また、賃貸物件なども保育園にできるよう、民間業者と土地所有者とのマッチングをすすめています。
特に深刻な問題点は保育士の数です。保育資格は持っていてもその厳しい労働条件のせいで保育関係の仕事に就かない「潜在保育士」が多くいるとされています。そのような人たちの復帰をうながすため保育士の待遇を現在、見直しをしてています。
さらに、働く人たちの育児環境を整備するため、事業所内保育施設の設置もうながしています。当初、「従業員の子どもが半数以上いること」が助成金の対象でしたが、現在は「1人以上いること」に変更しました。これによって今後も保育施設を有する企業が増えていくとみられています。
「待機児童解消加速化プラン」の期間は?
「待機児童解消加速化プラン」では、平成25年度・26年度が「緊急集中取組期間」、平成27年度・28年度が「取り組み加速期間」とされています。国は平成29年度に保育ニーズがピークに達すると見積もっていて、それに向けて待機児童の解消をすすめています。
保育所の整備や保育士の確保、認可外保育園への支援、事業所内保育園への支援に加えて、目下、新制度を取り入れようとしています。それは具体的な取り組みを打ち出した地方自治体に協力していくというコンセプトだそうです。
取り組みの成果としては、受け入れ人数は確実に増加しており、横浜市や神奈川県、川崎市など待機児童ゼロの実現ができた都市や、東京都大田区では613人いた待機児童が154人に減少するといった大幅な減少を見せる都市も出てきています。
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待機児童になりやすい年齢とパターンは?
3歳以上は保育園に入園しにくい現実
平成27年度の待機児童を年齢別でみると、3歳以上が3,265人。全体の待機児童数が23,167人なので、全体の14.1%となっています。3歳以上になると、幼稚園などの選択肢も増えるので、待機児童数は減少しています。0歳児は3,266人で全体の14.1%となっています。これは3歳以上の待機児童数とほとんど同じです。
これに対して、1~2歳児は16,636人で全体の71.8%を占めています。純粋に数字で比較すると0歳の子どものほうが保育園に入りやすいということになりますが、逆に0歳の時点で選考に落ちてしまうと、それ以降はなかなか入園できないという状況に陥ってしまうことがわかります。
入園できるかどうかは点数次第
そして認可保育園の入園は点数によって決まります。保育園は基本的に保育できない家庭の子どもを預かる福祉施設のため、父親または母親のどちらかだけが働いている家庭、保護者がいる家庭は入園できません。両親が働いていても労働時間が短いと減点となるケースもあります。
さらに「父子家庭または母子家庭である」「子ども人数が多い」などの保育の必要性が高い要素があると加点され、一緒に暮らしていなくても近くに祖父母が暮らしていると減点されることもあります。
そしてその点数が高い順から合否が決定されていくのです。専業主婦が「働きたいから預けたい」と思っても、申請段階では働いていないので入園できないということになります。つまり入園する年齢だけでなく、家庭環境によっても保活の難易度は異なってくるのです。
漢方薬にハマっている21歳。昨年友人が出産したことをきっかけに、育児のお役立ち情報をリサーチしています。
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