子どものかんしゃくは、反抗期にはよくありがちなことです。2~3歳ころのイヤイヤ期(第一反抗期)の爆発は、手に負えません。しかし、最近では小学生でもよくキレる、キレやすい子どもの存在が目立っています。キレやすい子どもになる要因はどこにあるのでしょう。原因と対策について解説します。
「キレる」とはどのような状態か
一般的に「キレる」とは、「逆上する」「激高する」と同じ意味の言葉です。突然怒りだし、怒鳴ったり、ものを壊したり、手のつけられないような状態になることを指します。若者言葉として1990年代にはやった言葉で、語源は「堪忍袋の緒が切れる」の「切れる」だともいわれています。怒りのあまり「脳の血管が切れる」の「切れる」だという人もいますが、定説はありません。
怒りの感情を爆発させる
子どもが「キレる」とは、怒りの感情が爆発した状態をいいます。ささいなことで怒りだし、大声を上げる、泣きわめく、周囲の人に暴力をふるう、ものに当たり散らして壊してしまう、といった行動に出ます。突然そうなったように見えますが、子どもがキレる前段階には、必ず何かを我慢している様子があります。その段階で「不満がある」「イライラする」と口に出すことができず周囲に伝わらないため、突然キレたように見えるのです。
自分をコントロールできなくなる
キレた子どもは、自分をコントロールできなくなります。暴力をふるうというのはその典型で、手加減ができないため、自分で自分を傷つけてしまうこともあります。売り言葉に買い言葉というように、本心ではない言葉を発して人を傷つけたり、「もういい!」といってすべてを放り出してふてくされた態度をとったりすることも。いずれにせよ、本来自分がしたかったことはできず、周囲とも健全なコミュニケーションがとれない状態になります。
合わせて読みたい
キレやすい子どもになる要因
キレやすい子どもになる要因は、メンタルなものとフィジカルなものと、2通りあると考えられています。昔はキレる子どもという存在が大きくクローズアップされることはありませんでした。これには、子どもの生活環境の変化が関係しているといわれています。小学生が毎日遅くまで外で遊んでいたのは昭和初期の時代まで。現代の小学生は、毎日の塾や習い事に忙しく余裕がない生活を送る子どもが多くなっています。
欲求を過剰に抑圧されている
何でもいうことを聞いてやって、ワガママに育った子どもの方がキレやすいと考えがちですが、これは反対です。実は、普段から欲求を抑圧されて我慢を重ねている子どもほどキレやすい傾向にあります。「人に迷惑をかけない」「みんなと仲良くする」など、よい子であることを期待され、自分の本当の気持ちを素直に表現できなくなっていることが原因です。我慢ばかりしていることがストレスになり、最後には爆発してしまいます。
コミュニケーションの不足
自分の欲求や感情は、必ずしも周囲に受け入れてもらえるとは限りません。普段から、よい感情も悪い感情も素直に表現し、否定されたり、賛同されたり、折り合いをつけたり、というコミュニケーションを重ねて、子どもは感情のコントロールを学んでいきます。こうした感覚は、特に遊びの中で培われていくものです。異年齢との集団遊びは、多くの学びを与えてくれます。しかし、子どもが遊ぶための「時間・空間・仲間」の不足がコミュニケーション不足を生み、キレやすい子どもを生んでいます。
生活習慣の乱れ
夜遅くまで勉強したり、スマートフォンを使ったりして、睡眠不足になっている小学生が増えています。そのため「朝食は食べない」「休みの日には遅くまで寝ている」など、生活リズムが乱れがちです。こうした生活習慣の乱れは、脳内伝達物質セロトニンの分泌を抑制します。セロトニンは、怒りや興奮といった感情と関係しているノルアドレナリンの働きを抑え、精神的な安定をもたらす物質です。セロトニンの不足が、子どものキレやすさを促進させていると考えられています。
合わせて読みたい
子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。