ハイハイや伝い歩き、さらには一人歩きができるようになると、子どもの世界はぐんと広がります。好奇心に満ちあふれ、やりたいことが増える一方で、思い通りにうまく行かずにカンシャクを起こすことも。親としては、困っている子どもに手を貸したほうがよいのか自分でやるように促すほうがよいのか、判断に迷うことも多いですよね。子どもが甘えてばかりだと、自立できるのか心配になってしまいますが、果たして甘えは自立にどのように影響するのでしょうか。
甘えることが、自立するための土台を築いていく
甘えと言うと「できるのにやらない」「やるべきことを、もっともらしい口実をつくって避ける」というイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、子どもの成長にあっては、甘えることは自立するための土台をつくるうえでとても重要なことなのです。
甘えることは子どもの心に安定をもたらす
2歳ごろになると、子どもに自我の芽生えがみられるようになります。「やる!」と何でも自分でしたがる場面も増え、やり方にも強いこだわりを示すことがまれではありません。しかし、まだまだ自分では手に負えないこともたくさんあります。不安に感じたり、本当に困ってしまったりして泣きたくなることもいっぱいです。自分の気持ちの向くままに、自分の力でやってみたい。でも不安だし、できないときもあるし、ママに近くにいてほしい。そのような子どもの心に安定をもたらすのが甘えることなのです。
自分で立てるのは、情緒的な支えがあるから
心の一番の土台、基盤となるのが自己肯定感です。「自分は大切にされている」、「自分は愛されている」という実感から、子どもの中に自身を肯定する気持ちが育まれていきます。甘えることは、自分の欲求に応えてほしいと求めることです。求めたら応えてもらえるという安心感が、自分や周りへの信頼感や物事への意欲につながります。自立は、倒れそうになっても支えがあるという確信があるからこそ。甘えることは、倒れそうで不安なときに大丈夫だよと確かめる大切な手段なのです。
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子どもの自立のためにならない甘えもある
このように、甘えは子どもの心が育つ過程において欠かすことのできない大切なものです。しかし、甘えにも推奨されるものと推奨されないものとがあります。「甘えさせる」と「甘やかす」、似たことばですが意味合いは大きく異なります。
甘えられることは、甘やかされることではない
親のほうからみたときに、子どもの求めに応じることは「甘えさせる」ことなのか「甘やかせる」ことなのかは、とても重要です。甘えさせることとは、子どもの心の状態を受けとめ、尊重すること。求める愛情に応えることです。しかし、欲しがるからと言って何でも買い与えることや、子どもができることを先回りして親がやってしまうようなことは、甘やかせることにあたります。親がやったほうが早いからと、つい子どもにやらせず親がやってしまいたくなる場面は多いものです。しかし、そのときは時間がかかっても、できる限り心と時間にゆとりをもって子どもに任せるようにすることが、長い目でみたときに子どもの自立を促す近道なのです。
休めるところがあるから、またがんばれる!
子どもは、親が認識しているよりもはるかにがんばっているものです。家ではグズグズだらだらしているのに「園ではとてもしっかりしていますよ」と先生にほめられて驚く、ということはかなり多くあります。外の世界で緊張してがんばっている分、家ではほっとして、思わずだらだらとしてしまいたくなる。それは大人も同じではないでしょうか。これを許しては甘やかしになると、親はついつい「早くしなさい」と急(せ)かしてしまいます。しかし、子どもはだらだらすることで甘えているのです。甘えてもいい場所がある、甘えを受けとめてくれる家族がいる、という思いが、自分の存在価値や自分や周りへの信頼感を育み、自立への意欲と行動につながるのです。
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メンタルコーチとwebライターの兼業をしている40代ワーママです。夫と息子との3人家族。東京生まれ東京育ちの大阪府民です。電車と食べることとヘンテコな踊りと絵本が大好きな、まもなく5歳の息子のお蔭で親として日々成長中です。息子が寝る前に習慣としてつづけてきた絵本の読み聞かせが、もうすぐ通算650冊になります。
Mme_barbon(マダムバルボン)は息子が好きだった絵本『ワニのバルボン』シリーズが由来です。
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