企業が妊婦に対して、精神的、および肉体的苦痛を与えることを、マタニティ・ハラスメント(マタハラ)と呼びます。2014年に、最高裁判所が「妊娠による降格は、男女雇用機会均等法に違反している」という判決を下してから、マタハラは、パワハラやセクハラと並ぶ問題として取り扱われるようになりました。しかし、現状では「マタハラについて相談できる職場環境がない」などの理由から、「どういった事例がマタハラにあたるのか」、「マタハラに対しての対策はどのように立てればよいのか」がわからないという女性も多くいらっしゃるようです。
ここでは、マタハラの事例や、マタハラから身を守るためにとるべき対策をご紹介していきたいと思います。
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マタニティーハラスメントの事例
【事例1】妊婦に対しての解雇を促す圧力
妊娠した場合、それまでと同様に仕事をこなすことは難しくなります。そのことについて企業側からプレッシャーをかけられたり、ストレートに「妊娠した場合、退職してもらう」などといわれたりする場合があります。これは、もっともわかりやすい「マタハラ」にあたる行為です。
このほかにも、「育休や産休を認めない」などの行為も、マタハラにあたります。こうしたマタハラ行為は、企業側の「離職を促す意思」の元に行われている場合が大半です。
【事例2】職場の不理解による、上司からの圧力
上司などから「妊婦だからといって特別扱いはしない」「妊婦だからといって甘えるな」などといわれ、定時に帰ったり、時短出社することを許されなかったりする場合があります。こうした行為も、妊婦に対するハラスメントにあたります。
【事例1】と似たようなパターンですが、こちらの場合は「離職を促す意思」というよりは、「職場の不理解」に原因があります。特に男性は妊娠や出産に対して理解が少なく、「妊娠や出産に伴う働き方の変化を認めない」という方も少なからずいらっしゃるようです。
【事例3】同僚からの悪口・いじめ
妊婦が育休や産休をとると、その分の仕事は周囲の同僚が受け持つことになります。このことをよく思わない同僚が、妊婦の悪口をいったり、直接的ないじめを行ったりする場合があります。妊婦自身も、「周囲に対して迷惑をかけている」という引け目からいじめを受け入れてしまいがちですが、こうした行為もれっきとしたマタハラです。
同性からいじめを受ける場合もあり、特に、育休や産休が認められなかった上の世代の女性からいじめを受けるパターンが多いといわれています。こうしたいじめの背景には、世代間の格差があると考えられます。
【事例4】価値観の押し付け
妊婦が働く意志を表明しても、上司がそれを思いとどまらせようとすることがあります。例えば、「子育てをしながら働くのは大変だぞ」、「家庭に入って、子供のことを第一に考えるべきだ」というような言葉で、子育てに専念させようとしてくるパターンです。【事例3】と違い、発言者としては善意から発言しているつもりなのかもしれませんが、こうした発言も立派なマタハラにあたります。
こうしたパターンの背景にあるのは、「女性は家庭に入るもの」という「昭和的価値観」だと考えられます。そのため、このパターンのマタハラは、年配の上司から受ける可能性が高いといえます。
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30歳。AB型。主婦。
主婦歴4年目に突入。実家に旦那と引っ越して、妊娠と出産に向けて本腰をいれて貯金と妊活を開始。30歳になる手前で第一子を妊娠し、無事に出産。現在は子育てと両立しながら、妊娠するうえで大切な基礎体温から妊婦生活を送る上で気をつけるべきことなど、「生活」に関する記事の執筆を主に担当。
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