注射嫌いな子どもは医師・看護師にお任せする
小児科では、注射が苦手な子どもが、怖くて大声で泣き叫んだり、暴れたりすることは全然珍しいことではありません。医師・看護師もそのような状況に大変慣れていますので、安心してください。
子どもが注射で泣くのは当たり前!
大泣きする子どもに対し、申し訳なさそうに、ぴったりとくっついてなだめているお母さんたちもいますが、なかなか子どもが落ち着かないようであれば、プロである医師・看護師に「あとはお任せします」と委ねてしまって大丈夫です。子どもにとって、注射が始まるまでの待っている時間は恐怖心がピークなので、とにかくスピーディーに注射を終わらせることが大切なのです。
注射をしている時は子どもから見えない場所へ
わが子が注射をされることが、かわいそうで、心配で、じっと近くで見守りたい気持ちは分かりますが、できればお母さんは子どもが注射をされている間は、席を外すことをおすすめします。なぜかというと、子どもが注射をする時に動いて危険がないように、看護師や医師などが3~4人で子どもを押さえて行うことがあります。大人に抑えられながら、痛い注射をされる恐怖に加え、そこにお母さんも混ざってしまうと、「お母さんに痛いことをされた」と記憶に残ってしまうのです。子どもから嫌われるのは医師や看護師だけで十分です。
それに、お母さんの前では泣いたり、ぐずっていたりする子どもも、お母さんが席を外した途端、泣きやんで覚悟を決めてくれることも多くです。親として心配だとは思いますが、スムーズに注射を終えるために処置室から出ていくか、子どもから見えない死角に移動するなどして、医師や看護師にお任せしましょう。
注射が終わったら大げさに褒める
注射をする時に泣いて暴れようが、途中脱走しようが、とにかく終わったあとは必ず褒めてあげましょう。そして「またひとつお兄ちゃん(お姉ちゃん)になったね」と自信をつけてあげます。注射のあとはばんそうこうを貼りますが、そのばんそうこうを家に帰ってからお父さんやきょうだいに見せてあげましょう。さらに得意げに「注射してきたんだよ!」と話します。その時、お母さんは「大泣きされて大変だった」などと子どもの前でネガティブなことは話さないように注意してください。「すごく頑張ったんだよ」と本人の頑張りを大人たちが認めてあげることで自信がつき、次の注射の時にはもっと頑張れるようになります。
親から褒められてうれしくない子どもはいませんから「痛いのによく頑張ったね」とか「お母さんも子どもの頃は注射は苦手だったけど、○○ちゃんの方がすごいね」など少し大げさに話してあげると、さっきまで泣いていた子どももきっと笑顔を見せてくれることでしょう。
おわりに
注射が苦手な子どもでも、母親の関わり方を工夫することで、注射を落ち着いて受けることができる様になります。ですが、一見平気な様子で注射を受けている子どもでも、決して痛みを感じていないわけではなく、痛みを我慢して、感情をグッと抑えて注射と戦っているのです。
以前こんなことがありました。少し表情が大人びた小学5年生の男の子が、注射が終わったあと、目から1粒だけ涙を流したのです。お母さんに見えないようにそっと拭いていました。そんな子どものけなげな姿を見ると感動しちゃいます。
注射といえども子どもが痛い思いをするのはお母さんにとっては胸が痛むことだとは思います。けれど、これも子どもたちの大きな成長のきっかけになるはずです。ぜひお母さんたちにも一緒に頑張ってもらいたいです。
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30代後半の看護師。整形外科、消化器内科を経て現在は小児科クリニックで管理職を担う。プライベートでは夫と長女(4歳)、次女(0歳)を家族に持つワーキングママ。子育てポリシーは「他人と比べない」こと。正解のない育児に日々、奮闘しながら親も子どもと一緒に成長していきたいと考えている。看護師の経験を活かした医療系の記事を担当。
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