日本の多くの病院は自然分娩(ぶんべん)を推奨していますが、ここ数年、高齢出産の増加などで帝王切開の手術数も増えていっています。帝王切開は痛くて、怖いイメージがありますが母体や胎児を守ってくれる安全な出産方法ともいえます。今回は帝王切開について説明していきたいと思います。
予定帝王切開と緊急帝王切開について
帝王切開は2種類に分かれます。あらかじめ日程を決めて手術を行う予定帝王切開と、急に帝王切開に切り替わる緊急帝王切開があります。自然分娩で産むつもりが、緊急帝王切開になることがあります。
予定帝王切開が想定されるケース
以下の状況だった場合、予定帝王切開になることが多いです。
逆子
胎児のお尻や足が下を向いているため足から出てくることになり、へその緒が絡まりやすく胎児に十分な酸素が伝わらない危険がある場合
多胎妊娠
双子や三つ子などの場合
児頭骨盤不均衡
胎児の頭と母親の骨盤の大きさが釣り合わない場合
子宮筋腫
筋腫の位置や大きさによって産道をふさいでしまう場合
前回帝王切開
前回の妊娠時も帝王切開だった場合
高齢出産
母親が高齢で自然分娩に耐える体力などがない場合
緊急帝王切開が想定されるケース
分娩前、分娩中にトラブルが起こった場合、緊急に帝王切開を行います。
胎児機能不全
胎児の呼吸が乱れる、低酸素状態になる場合
常位胎盤早期剥離
何らかの原因があり、胎盤が剝がれてしまう場合
妊娠高血圧症候群
高血圧、尿タンパクを含む場合で重症になり危険を伴うと判断された場合
微弱陣痛
陣痛が強くならず子宮口が開かないため、分娩がなかなか進まない場合
回旋異常
赤ちゃんの下りてくる流れがうまくいかない場合
前期破水
陣痛の前に破水してしまうと分娩につながらない可能性が高くなる場合
遷延分娩
分娩がスムーズに進まない場合
帝王切開の痛みは?費用は?どれぐらい?
帝王切開は痛くないなんてそんなことありません。陣痛や分娩の痛みはなくても、麻酔や術中、術後の痛みはもちろんあります。自然分娩が産むまでのつらさなら、帝王切開は産んでからの痛さという言葉が当てはまると思います。
麻酔をする時には痛みがあるの?
帝王切開による出産では、胸から下の感覚がなくなる局部麻酔が用いられることが一般的です。局部麻酔では腰の辺りに針を刺して薬を注入しますが、この針を刺す際の痛みが麻酔をする時の痛みです。チクッとした痛みだったという人もいれば、とても痛かったという人もいます。また、麻酔の効き具合にも個人差がありますので、事前に担当医に相談しておくと不安が軽減されますね。
おなかを切開する時に痛みはあるの?
もちろん麻酔が施されていますので、おなかを切開する時に痛みを感じることはありません。少しおなかが引っ張られる感じがしたというママもいますが、痛みを感じることはないので安心できますね。局部麻酔ではママの意識がある状態なので、赤ちゃんが生まれてくる時には痛みを感じることがなく赤ちゃんと対面することができます。
出産後の痛みはあるの?
帝王切開での出産は、赤ちゃんを取り出すためにおなかを切開していますから、出産後に麻酔が切れるとその傷口が痛むことになります。個人差はありますが、ジンジンする痛みであったり、つきあげられるような痛みであったりしますが、退院する頃にはこの痛みも気にならない程度になる人が多いですよ。
また子宮が収縮することによる「後陣痛」は、帝王切開での出産でも経験します。帝王切開での出産の場合、陣痛を経験していないために後陣痛を強く感じる人が少なくありませんが、この痛みは出産後2~3日で落ち着きます。そして、痛みが激しい時には、痛み止めを処方してもらえることがありますので安心です。
帝王切開の手術費用は一体どのくらい?
入院が長引くこともあり、出産費用が高額になります。しかし、手術をするということで健康保険が適応されます。そして、気になるのが出産育児一時金。健康保険などに加入していると、自然分娩でも帝王切開でも出産育児一時金50万円が支給されます。また、帝王切開でかかった費用は、高額医療費として申請することができます。国民健康保険、もしくは社会保険に未加入の場合は、帝王切開にかかる医療費や出産一時金の給付を受けることができないので気を付けましょう。
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