厚生労働省の出産統計によれば、昨今は出産総数のうち5人に1人強が、35歳以上での「高齢出産」という割合になっています。わざわざ「高齢出産」と呼ばれるだけのことはあり、若い世代の出産とひとくくりにするべきではない面がいろいろとあります。ここでは特に金銭面に関して、若い世代の出産費用と比較をしてみます。
高齢リスクによる費用のプラスアルファ
妊娠から出産にかかる費用には、妊婦健診や各種検査のほか、分娩(ぶんべん)・出産に伴う入院費用があり、順調な妊娠期間を経て出産しても40〜50万程度がかかります。それ自体に年齢による違いはありませんが、高齢出産はリスクが高いため、想定外の費用がかかる可能性が高くなります。
年齢のせいで出産費用に違いが出ることはない
基本的に妊婦健診や出産の費用に年齢によっての違いはありません。費用に差が出るのは選んだ病院によるものです。高齢出産でも若い世代でも、トラブルのない妊娠期間を経て自然分娩をすれば最も費用は安くて済むのは同じです。費用が高くなるのは妊娠中に起こる、さまざまなトラブルのためであり、もちろん若い人でも何らかのトラブルがあれば費用が高くなります。
高齢出産は若い世代よりリスクが高い
しかしながら高齢出産の妊婦は若い世代の妊婦に比べ、加齢のため体力や身体のさまざまな機能が衰えており、トラブルが起こりやすい高リスク妊婦とされて区別されます。子宮筋腫のある方も多く、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になる確率も上がります。なかなか出産が進まずに難産になることも多く、帝王切開による出産が多くなります。
リスクが高いと費用が高くなるのはなぜ?
当然ながら高齢のリスクによってトラブルが起きればそれに対処する必要があり、それぞれに費用がかかります。陣痛を促進する処置や帝王切開、入院が延びればその分の入院費用、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などに対しても診察代や治療費がかかります。早産や、生まれた赤ちゃんに異常があった場合の治療代がかかることも考えられます。
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高齢出産だとかかりがちな費用とは?
高齢出産は老化した母体への負担だけでなく、卵子の老化のためにそもそも妊娠しづらかったり、流産・死産・早産の確率が上がったり、胎児に先天的な異常が出やすかったりといったさまざまなリスクがあります。無事に出産できるまでに思わぬ費用がかかる覚悟は必要です。
まず妊娠するまでにお金がかかるかも?
35歳を超えると卵巣機能の低下や卵子の老化が進み、妊娠する確率自体がぐっと下がります。高齢になってからいざ子どもが欲しくなったときには妊娠できないかもしれません。避妊をせず夫婦生活をして半年間妊娠しないようであれば、早めに不妊外来を受診するべきです。体外受精のような高度生殖医療を受けることになれば高額の治療費がかかります。
高齢出産だと帝王切開になりやすい
高齢出産の費用が高くなる多くのケースは、分娩が帝王切開になる場合でしょう。高齢や子宮筋腫などのために予定帝王切開になる場合もあれば、加齢のために難産になり緊急帝王切開になる場合もあります。帝王切開になれば入院日数が長くなるためその分費用がかかりますが、保険が適用されるので高額療養費の申請ができますし、生命保険に加入していれば給付金も支給されます。
希望すれば受けられる出生前診断
高齢出産は染色体の異常などで胎児に先天的な異常や病気が出る確率も上がります。希望をすれば出生前診断を受けられますが、高額の費用がかかり、検査によって流産の確率が上がるという弊害もあります。一番の問題は、何らかの異常が分かったときに、障害のある子どもを持つ覚悟を夫婦が持てるのか、それとも中絶を選択するのか、という重い選択を迫られる点でしょう。
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仕事もしながら3歳の娘の育児を頑張る高齢ママです。
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