子ども時代から大人になるまで、「いじめを一度も目にしたことがない」という人は少ないのではないでしょうか。パワーハラスメント、モラルハラスメントなどのハラスメントにもつながる“いじめ”。
しかし、“いじめ”とはいったいなんなのかときかれたら、答えられるでしょうか?“からかい”や“いじり”と、“いじめ”との差は明確に存在するのでしょうか?きちんとした定義がないからこそ、うやむやにされてしまいがちな“いじめ”に関する定義を考えてみます。
文部科学省の“いじめ”の定義
昭和60年頃、学校でのいじめによる子どもの自殺問題が数多く起こり社会問題となりました。それを受け、昭和61年、文部科学省によっていじめが定義されました。しかし、時代の変化に伴っていじめも多様化し、いじめの定義は時代に合わせて変わってきています。
現在の定義
現在では、いじめ防止対策推進法が施行され、平成25年度からは以下のように定義されています。
「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体または財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。
これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応をとることが必要である。
いじめは犯罪行為
いじめ防止対策推進法ができたことによって、いじめ行為について犯罪行為であると捉える動きが出ています。特に、子どものいじめについて、子どものしたことだから、子どもだったからというだけで許されるものではない行為はたくさんあります。
- ものを隠す、とる・・・窃盗
- 落書きをする・・・器物損壊
- 殴る蹴る・・・暴行
- 悪口をいいふらす・・・誹謗(ひぼう)中傷
“いじめ”というと、何だか軽く感じますが、このように当てはめてみると、していいことなのかどうか考え直すきっかけにもなりそうです。
学年別いじめの認知件数のグラフ(国公私立)
認知件数 | |
---|---|
小1 | 56,834 |
小2 | 62,546 |
小3 | 59,681 |
小4 | 54,944 |
小5 | 47,095 |
小6 | 36,317 |
中1 | 41,943 |
中2 | 26,246 |
中3 | 12,644 |
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“からかい”や“いじり”と、“いじめ”との違い
バラエティー番組などを見ていても、人を陥れて、それを見て笑っていると感じるものがありますね。からかっているほう、いじっているほうはもちろん笑っていますし、されたほうも嫌がるふりをしたり、むしろ喜んでいたりする場合もあります。それらといじめとの違いはいったいどこにあるのでしょうか。
いじめは一方的に行われる
からかいやいじりとされる場合は、されているほうも同じようにからかったりいじったりすることができる関係です。しかし、いじめの場合は、被害者は加害者を同じようにからかったりいじったりすることができません。それは、加害者からの圧力かもしれないし、被害者の性格なのかもしれないですが、一方的にいじり倒されるのは、いじめといえます。
いじめは断続的に行われる
からかいやいじりの起こる状況というのは、その場のテンションが上がっていて本人たち双方が楽しくてしている状態です。しかし、いじめの場合は、加害者の気分だけで行われるので、いつまでもしつこかったり、いまそれをする?というタイミングで行われたりします。
被害者がいじりをつらいと感じたらいじめ
これは被害者が訴えでないと判明しないことなので、まわりが判断するのは少し難しい基準となってしまいます。しかし、被害者の性格などから、いじられて笑いが起こることを苦痛と感じてしまう場合もあるのです。本人がそこで「笑われるのはいやだからやめて」といえる力関係があるのであれば、それは一方的ではないですが、笑われていやなのに耐えているだけの状態は、いじめといえます。
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40代前半。15年間の義両親同居のモラハラ生活を経て離婚、現在は15歳の長男と10歳の次男と3人で暮らしています。子どもたちにはそれぞれ特徴のちがう発達障害があります。離婚後、保育士資格を取得し、いかに自立していくかを模索中です。
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