保育士。学生時代に児童心理学を学び、幼少期の関わりがその後の人生を左右することに強い関心を持ち、自身の研究テーマとする。 3児の母で、長女の小受では全勝を果たす。現在6年目となる保育現場や幼児教室で本領発揮し、周囲から絶大なる信頼を得ている。 生活教育こどもと幼児園 http://kodomoto.tokyo/保育記事監修者プロフィール:伊藤美緒先生
「統合保育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?多くの障がい児の保護者たちが「統合保育」をおこなう保育所に期待を寄せ、わが子を入園させたいと考えています。しかしながら、その数は限られており、なかなか望み通りにはいかないようです。今回はそんな「統合保育」についてさまざまな立場からメリット、デメリットなどをみていきましょう。
統合保育についての基本的なこと
統合保育とはどういう保育方法で、どこでおこなわれており、なぜなかなか広がりを見せないのか調べてみました。理想だけでは実現できないさまざまな理由や、準備にかかる時間や費用、保育士のスキルなどの問題がみえてきます。
統合保育とはどういう保育方法でしょう?
何らかの障がいを持つ障がい児と、同年齢の健常児を分け隔てなく同じ空間でいっしょに保育することを統合保育といいます。健常児が幼児のころから障がい児といっしょに遊んだり生活したりすることによって、自然に障がいに対する理解を深めていき、障がい児は健常児からさまざまな刺激を受けて成長し、社会性を身に付けるなどの意義を持っています。
統合保育はどこでおこなわれているの?
市区町村が保育所を指定するケースや、民間の保育所が独自におこなうケースがあるようですが、実際におこなわれているのは限られたごく一部のようです。特に医療ケアを必要とする障がい児を受け入れ可能な保育所はほとんどありません。また、万一のときの責任問題や設備の不足などを理由に、障がい児の受け入れについて消極的な保育所が多いようです。
統合保育の現場で問題視すべきことは?
障がい児を預かる立場の保育士が、障がいや病気に関する専門的な知識を持っていない場合があります。また、専門的な知識を持っていたとしても障がい児保育の経験が極端に少なかったり、全く経験がなかったりすることもあります。健常児および障がい児に対して適切な指導をおこなうことができる保育士がいない場合、障がい児に疎外感や劣等感を与えかねないという問題があります。
合わせて読みたい
障がい児の親子からみたメリットデメリット
障がい児とその親からみた、統合保育のメリット、デメリットにはどんなことが考えられるでしょうか。メリットばかり注目しがちですがデメリットについても理解しておくことが大切です。子どもと親、それぞれの立場からみたメリット、デメリットをご紹介します。
障がい児にとってのメリットとは?
常に自分のまわりにいる健常児の行動をまねて、同じように体を動かそうとすることで、身体機能が向上したり、生活習慣が身に付いたりする可能性があります。また、集団で行動することを経験し、協調性が生まれ友だちと遊べるようになるかもしれません。さらに、親以外の大人やたくさんの子どもたちと接することで視野が広がり、社会経験が拡大すると考えられています。
障がい児の親にとってのメリットとは?
子どもを預けている時間に、普段なかなかできない自分のことを優先しておこなうことができたり、外で仕事をすることで経済的な余裕を生み出すことができたりします。また、地域の保育施設に預けることができれば送り迎えの負担が軽くなります。さらに、地域の保護者と交流し情報交換などをする機会が得られることで、心にゆとりが生まれます。
障がい児にとってのデメリットとは?
健常児の友だちとのコミュニケーションがうまく取れず、からかいの対象になってしまったり、仲間外れにされてしまったり、差別されてしまうことがあるかもしれません。また、健常児と同じように行動しようとしても思うようにできなかったり、集団行動になかなかなじめなかったりして、強いストレスを感じてしまうかもしれません。
合わせて読みたい
小学生と高校生の2人の男の子の母です。海の近くに住んでいます。
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。