知らないと損をする出産で受給できる九つの手当金、助成金、給付金

休日の家族

出産にかかる費用はどのくらい必要か把握されていますか?主に分娩(ぶんべん)費と入院費を合わせたものが出産費用とされますが、全国的な平均額は約40万~50万の間です。
1人の赤ちゃんを産むのに出産時だけで、これほどの大金が必要となります。妊娠~出産までということを考えたら、さらに金額は大きくなりますよね。

ただし、この金額は必ずしも全額負担しなければならないわけではありません。日本では、出産に関する手当金や助成金を受給できる制度がきちんと整っています。
今回は、妊娠・出産時にもらえる助成金をまとめてみました。

妊婦健診の助成金

妊婦健診

妊娠~出産までには、トータルで15回ほどの検診を受ける必要があります。1回にかかる検診費が5000円~1万円ですから、合計するとかなりの出費になってしまいます。

そこで各自治体は妊婦の健康管理の充実と、経済的負担の軽減のために、妊婦健診の助成制度を用意しています。自治体によって内容は異なりますが、妊婦健康診査受診、超音波検査受診、子宮頸(けい)がん検診が回数制限はあるものの無料になり、母子手帳を交付してもらうときに無料券という形で一緒に配布されます。全ての自治体がこの限りではありませんが、ほとんどの地域で用意されている制度になるので、お住まいの地域の区役所・市役所で確認してください。また、里帰り出産や助産所での受診者については、出産後に助成をしている自治体が多いようです。

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出産育児一時金

妊婦の入院

出産育児一時金は、健康保険から入院・分娩(ぶんべん)費として支給される助成金で、子供1人につき50万円(産科医療保障制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は48.8万円) がもらえます。
また多くの病院が、直接支払制度というものを採用しており、出産費用のうち、この出産育児一時金の分を一時的にでも出産を迎える夫婦や家族が負担しなくとも良いよう手続きを進めてくれます。
つまり、病院側で健康保険に代理申請してくれるという便利な制度もありますので、50万円を超えるまとまったお金を準備するのが難しい場合などは積極的に活用すると良いでしょう。

ただし、入院・お産費が50万円を超えた場合は、差額分が実費となりますので、入院・お産にかかる費用が50万円から幾ら超えるのか、出産する病院が決まったらチェックしておきましょう。

出産育児一時金の支給条件

支給条件は、妊娠4カ月(85日)以上で出産をしたことで、早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)も支給対象として含まれます。

出産育児一時金の受給資格を喪失する前日(退職日など)まで健康保険の加入期間が継続して1年以上ある方の場合、資格喪失日から6カ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給されます。

医療費控除

医療費

医療費控除は、1世帯全員を対象に年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告時にお金が返ってくるという制度です。これは入院費用だけでなく、病院までの交通費や薬局での薬代まで、幅広く保障されています。いつどこで医療機関に関わったかなどを証明するため、レシートなどをしっかりと保存しておいてください。

医療費控除の対象

出産に伴う費用で医療費控除の対象は、定期検診や検査などの費用、通院するための費用が対象となります。電車・バスなどの交通手段は領収書がないものは、家計簿などに記録するなどして実際にかかった費用を明確に説明できれば問題ありません。

高額療養費

高額療養費

高額療養費は、帝王切開や流産など健康保険が適用される手術や病気で入院した際に、自己負担限度額を超えた場合の超過分が支給される制度です。何らかの治療を行い、自己負担額が発生したときは、保険組合に速やかに手続き申請しましょう。

所得が少ないほど多くの金額がもらえるので、本当に助かる制度です。
また、事前に高額医療費がかかることが分かっている場合、「限度額適用認定証」を提示する方法もあります。

健康保険が適用される症状

  • 微弱陣痛での陣痛促進剤の使用
  • 死産
  • 止血用の点滴
  • 吸引分娩(ぶんべん)
  • 鉗子(かんし)分娩(ぶんべん)
  • 帝王切開
  • 無痛分娩(ぶんべん)の麻酔
  • 新生児集中治療室への入院  など

傷病手当金

傷病手当金

傷病手当金は、勤務先の健康保険に加入している方が妊娠つわりや切迫流産などの理由で会社を休んだ場合に、標準報酬日額の3分の2を受け取れるという制度です。ただし、この傷病手当金は、4日以上連続して休んだ時点からのスタートであり、3日(待機期間)以内であれば支給されませんので、ご注意ください。

傷病手当金の支給条件

  • 業務外の傷病により療養しており、動ける状態ではない(労務不能)こと
  • 連続して3日(待機期間)を超えて休んでいること
  • 給与の支払いがないこと、または、支払われている賃金が傷病手当金の額より少ないこと

※有給休暇等で賃金の支払いがある場合でも「待機期間」となります。

これまで出産手当金が支給される場合、その期間については傷病手当金を支給しないこととなっていましたが、平成28年4月1日から、傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額が支給されることとなりました。支給される期間は、支給開始日から最長1年6カ月です。

傷病手当金の計算方法
【支給開始日の以前12カ月間の標準報酬月額の平均】÷30日×2/3


出産手当金

出産手当金

出産手当金も、勤務先で加入している健康保険から支払われます。対象者は、妊娠・出産を理由に仕事を休んでいて、産後の職場復帰が決まっている人です。出産手当金は、産前42日・産後56日の最大98日間、標準報酬月額の3分の2を受け取ることが可能です。

また、アルバイトやパートの方も関係なく、受給を受ける権利があります。

出産手当金の支給条件

  • 出産した(する)こと
  • 妊娠4カ月(85日)以上の出産であること
  • 給与の支払いがないこと、または、支払われている賃金が出産手当金の額より少ないこと

※妊娠4カ月(85日)以上で出産をしたことで、早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)も支給対象となります。

出産手当金の計算方法
【支給開始日の以前12カ月間の標準報酬月額の平均】÷30日×2/3



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出産祝い金

出産祝い金

会社の福利厚生制度にもよりますが、平均して1万~3万円ほどの出産祝い金を受給できます。ただし、全ての会社で行っているわけではありませんので、雇用条件などをよく確認してみてください。
出産祝い金制度は、夫婦それぞれで受け取ることが可能で、奥さまが専業主婦であっても旦那さんの会社から支給されることもあります。

富士フィルムホールディングスでは出産祝い金制度として、第1子で5万円、第2子で10万円、第3子以降は100万円と、かなりの高額な出産祝い金が支給されます。

育児休業給付金

仕事中の妊婦

育児休業給付金は、産休や育休を取った人を対象に赤ちゃんが1歳になるまで(最長で2歳まで)の間、収入の一部を会社が加入している雇用保険(全国健康保険協会(協会けんぽ))から支給してもらえるという制度です。
注意したいのは、給付金をもらっている期間に関しては、お給料がもらえなくなるという点です。

受給条件は、育児休業前に2年以上勤めている、かつ賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上であるなどが挙げられます。対象者はママだけではなくパパも対象になるので会社に確認してください。

育児休業給付金には、出産から8カ月という申請期限があるので注意してください。申請のし忘れを防ぐために出産したらすぐに会社に連絡して申請の手続きを行ってください。

育児休業給付金の受給条件

  • 雇用保険に加入する65歳未満の方
  • 育児休業を開始する前の2年間のうち1カ月に11日以上働いた月が12カ月以上あること
  • 休業中に職場から賃金の80%以上を支給されていないこと
  • 休業している日数が対象期間中毎月20日以上あること(ただし、休業終了月は除く)
  • 赤ちゃんが1歳になる日(誕生日前日)を超えたときに引き続き雇用される見込みがあること

児童手当

児童手当

赤ちゃんが生まれたときに出生届を出しますが、そのときにこの児童手当も申請すると後々非常に助かります。

児童手当は、子育てを行っている世帯への支援を目的とした助成金であり、3歳未満で一律月1万5000円、3歳~小学校修了前で第1子・第2子が月1万円、第3子以降が1万5000円、中学生の間も月1万円と、計15年もの期間受給することができます。所得が622万円+扶養者の人数×38万円以上と、高所得者の場合は月に5000円となりますが、受け取ることが可能です。

支払い対象年齢支給額(月)
0~3歳15000円
3歳~小学校修了まで10000円(第1子・第2子)
15000円(第3子以降)
中学校10000円
所得制限世帯(622万円+扶養者の人数×38万円)5000円
児童手当の所得制限について
子どもが2人いる世帯の場合、受給者本人の前年の所得が622万円+扶養者の人数×38万円以上あると児童手当は支給されず、代わりに子ども1人当たり月5000円が特例として当分の間支給されることになってます。※共働きの場合は通常所得が高いほうが対象となります。

おわりに

いかがでしたか?今回は出産時に受給できる代表的な手当金・助成金、給付金を紹介しました。他にも各自治体や会社ごとの手当金はたくさんあります。
高額なお金を必要とする妊娠・出産、子育ても、国や会社などの保証制度により、低額でやりくりできるようになっているのですね。

出産の際には、このような支援制度を利用して、なるべく自己負担額を減らしていきましょう。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。

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