【2022年度から再開検討】たった9カ月で凍結した「妊婦加算」とはどういう制度だったのか?

妊婦加算
2018年の診療報酬の改定とともに、妊婦加算という制度が導入されました。これは、妊婦が医療機関を診療する際、従来の診療料に加えて金額を上乗せするというものです。4月の導入以降、批判にさらされ、12月には早くも見直しを迫られることになりました。そして2019年1月1日から凍結することが承認されました。しかし、妊婦に対しての診察は必要だという声もあり議論を重ねた結果、2020年度から再開する検討に入りましたがこちらも見送りになりました。
現在は2022年度より新たな診療報酬改定を検討しています。

今一度、この制度の内容・目的や問題点はどのようなものだったのでしょうか。ここでおさらいしていきましょう。

妊婦加算は、妊婦を支援するためってホント?

妊婦のお金
2018年4月、妊婦が病院などの医療機関を受診すると、通常の診察料に金額が上乗せされる「妊婦加算」という制度が始まりました。これは、診療報酬(国が決めた医療行為に対する価格)の改定に伴って設けられた制度です。この制度は「医者が妊婦を診察するときは、おなかの赤ちゃんのことを考慮して薬などを出さなくてはならない。妊婦でない人よりも慎重に診察する必要があるので、そのためのお手間代」という名目でできたものです。

妊婦が受診すると通常の診察料に上乗せ

妊婦さんが病院の外来を受診した場合、通常の診察料に加え、妊婦加算が上乗せされます。加算される額は初診時と再診時で異なります。妊婦加算額は初診時が+750円、再診時が+380円。ただし、これは医療機関が保険組合などから受け取る報酬額です。健康保険に加入している人は原則3割が自己負担となるので、実際に妊婦さんが病院などの窓口に払う妊婦加算額は、初診時が+約230円、再診時が+約110円となります。

深夜や休日、診療時間外に診察を受けると、上記に加えて以下の自己負担額が加算されます。

診療時間外・休日受診 初診約350円 再診約210円
深夜受診 初診約650円、再診約510円

なお、この制度はどの診療科でも適用されます(妊婦検診は適用外)。また、妊婦加算のルールとしては、「医師が診察時に妊婦であると判断した場合」とされていますが、妊娠反応検査を実施したり、母子健康手帳の提示を求めたりする必要はありません。なお、診察時には妊娠がわからず、後日妊娠していることがわかっても、さかのぼって請求はされません。

医療機関は妊婦を診療したがらない?

妊婦が病院に行くと、なぜ余計にお金を支払う必要があるのかという批判が多く聞こえてきますが、背景には、妊婦を敬遠する医療機関が少なくないという事情があります。産婦人科以外の診療科を妊婦が訪れたとき、「妊婦は産婦人科へ行ってくださいなどと言われ、診察してもらえなかった」という例があるようです。

「専門外の医師でも妊婦の診療について勉強し、妊婦に適切な医療行為を施すべき」との考えから、国は専門外の医師などに妊婦の診察を促す目的で、妊婦加算の仕組みを整えたともいえます。

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批判噴出・問題点の多い妊婦加算

眼科の診療
妊婦が適切な医療を身近な病院などで受けられるように、という目的で作られた妊婦加算。しかし、妊婦たちを中心に批判が噴出しました。また、妊婦加算のルールをめぐっても、さまざまな問題点が浮き彫りになっています。

「妊婦税」「少子化対策に逆行」という批判

妊婦加算に対しては「実質、妊婦税じゃないか」「少子化対策と矛盾している」という批判も上がっています。株式会社カラダノートが行った意識調査によると、妊婦加算制度について「知っていた」と答えたのは25・9%だったという結果もあり、病院を受診して初めて知った人も少なくありません。また、「妊婦加算を避けるために、妊婦であることを申告しない人が出てくるのではないか」と心配する声も挙がっています。

妊婦加算のアンケート

一方、「妊婦加算があることで、これまで妊婦の診察を敬遠していた医師が、妊婦を受け入れるようになるのではないか」「おなかの赤ちゃんのことを考えると、妊婦に配慮して薬を出したり、治療を施したりすることは大切」と理解を示す人もいます。

妊婦かどうか関係ない診察にも加算

妊婦加算の運用をめぐっても、問題点が明らかになっています。妊婦加算の対象となる診療科は、特に決められていません。このため、コンタクトレンズの処方のように、妊娠中であることを特に考慮する必要がないような診察にも、加算された事例があったといいます。また、医師が診察時に妊婦かどうかを確認せず、診察後に妊婦と知った場合でも加算していたケースも報告されています。

また、妊婦加算の導入後、医療機関で診察を受けた妊婦からは「ちゃんと診てもらえなかったのに、加算されていた」という声も挙がりました。「妊婦への医療的な支援体制を整える」という、本来の趣旨から外れた方向に進んでいるのは残念なことです。

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