子どもの虐待はたたくなどの体に与えるものだけではありません。近年急増しているのは、子どもの心を深く傷つける心理的虐待です。ここでは、近年児童相談所への相談件数が多い心理的虐待とはどんなものなのか、虐待を受けた子どもがどうなってしまうのかに加え、もし虐待ではないかと疑われる場合にどうすればよいかを合わせて紹介します。
子どもへの虐待の状況
はじめに児童相談所に通報された虐待の状況について紹介します。虐待は虐待をしている本人だけでは止められないことがあります。周囲のサポートが重要な場合もあるため、気になることがあったら手を差し伸べる気持ちが大切です。
子どもへの虐待通報件数のうちわけ
昨今児童相談所での虐待の対応件数は急増中です。平成24年度では6万件ほどでしたが、平成29年度には13万件を超えています。うちわけでみると虐待通報件数の半数以上の約7万件が心理的虐待です。次いで身体的虐待が3万件、ネグレクトが2万件強と続きます。すべてが重大案件というわけではありませんが、家庭では抱えきれない事件が急増しているのです。
子どもを虐待する最も多い加害者は母親
子どもを虐待している加害者のうち、半数以上は母親です。また、虐待は親に自覚がある場合とない場合があります。仮に親自身に虐待しているという自覚があったとしても、いろいろな事情で親ひとりでは自分の行動が変えられないことがあります。特に育児ノイローゼになっているときにはその傾向が強まります。
虐待かな?と感じたら「189」に相談を
虐待とまではいかなくても、もし周囲で子育てに苦労していそうな人がいるなと感じた場合には、早い段階で局番なしの「189」へ電話相談をしましょう。着信先は最寄りの児童相談所です。たいていは問題ないことがほとんどです。また、通報者のプライバシーは守られるので、近所との関係が悪くなることもありません。
合わせて読みたい
心理的虐待とはこんなもの
心理的虐待は身体的な虐待などと異なり、目に見えるケガや傷がないため、発見が遅れがちです。たとえしつけなどで意図的なものであっても、子どもが苦痛に感じている場合は虐待にあたります。
言葉による脅し
脅迫的に子どもの心や自尊心を傷つけるようなことを日ごろから繰り返し言うことは虐待の恐れがあります。「お前なんか生まれなければよかった」「大嫌い」といった激しいものに限らず、「どうしてできないの」「ちゃんとできなければご飯をあげない」「言うことを聞かないとたたくよ」など、子どもが聞いて嫌な気持ちになる内容を何度も言い、子どもが常におびえて元気がないようであれば、立派な心理的虐待です。
無視
無視とは拒否的な態度全般を指します。「おなかがすいた」「こっちに来て」「お話を聞いて」など子どもの呼びかけや話を無視するなどが一例です。また、赤ちゃんのおむつがぬれたりミルクが欲しかったりして泣いているのに気づいていながら、いつまでも無視をし続けるということが含まれます。
兄弟間での差別的扱い
どうしても年齢や性別、性格などで扱いに多少の違いは出てしまうときがあるでしょう。しかし「お姉ちゃんはいつも優秀なのにあなたはダメね」など、極端に差をつけた態度は心理的虐待にあたります。子連れで再婚した夫婦に新しく赤ちゃんが生まれた場合に、赤ちゃんだけをかわいがり連れ子に食事を与えないといったケースもあります。
子どもの目の前で家族に暴力をふるう
子ども自身に何もしていなくても、暴力が子どもの目に触れてしまうと心理的虐待にあたります。例えば別の子どもへの身体的虐待をしているのを見る、配偶者や他の兄弟といった家族などに対して暴力をふるうといったことが含まれます。
合わせて読みたい
30代後半のママライターで夫、5歳娘、3歳娘、2歳息子の5人家族です。セットメーカーで技術者として10年ほど勤務していましたが、出産と夫の転勤が重なり退職。実家から遠く離れた土地で生活しています。子育てのポリシーは毎日が面白ネタです。大変なこともありますが、日々ボケと突っ込みで乗り切っています。また、できるだけ家族が揃う時間が作ってコミュニケーションを大切にしています。よろしくお願いします!
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。