日本では、すでに熊本県慈恵病院に赤ちゃんポストが設置(1カ所)されてから今年で10年がたちました。毎年多くの赤ちゃんの命を救っています。ですが、残念ながら、預けられた子どもたちを長期でフォローする体制は整っていません。それでも人道上の観点から、赤ちゃんポストの存在意義はとても大きいものです。今秋には、赤ちゃんポストとは少々異なりますが、神戸に「面談型」で匿名の赤ちゃんを受け入れる体制が開始予定です。
意外と知られていない?赤ちゃんポストとは
赤ちゃんポストとは、諸事情で育てられない赤ちゃんを親が匿名でポストに入れて手放すことができる施設、およびそのシステムのことです。海外でも、このような赤ちゃんポストは複数の国で見受けられます。2007年に熊本県熊本市慈恵病院に赤ちゃんポスト設置の許可がおり、「こうのとりのゆりかご」という名称で運用されています。
赤ちゃんポストが設置されるようになった経緯
赤ちゃんポスト設置の目的は、主に中絶、赤ちゃん殺害、産み捨て、虐待などから赤ちゃんを未然に守ることにあります。困難な状況にある妊婦や望まない妊娠をしてしまった妊婦が赤ちゃんを捨ててしまったり、命をあやめてしまったりする事件は後を絶ちません。新生児は、外界の変化にうまく適応できないことから、その命を守るために可及的速やかに保護することが必要です。そんな赤ちゃんの命を守るために赤ちゃんポストが設置されるようになりました。
赤ちゃんポストがすでにある場所はどこ?
日本でも、すでに第2次世界大戦後2~3年間、戦争孤児を対象とした施設が済生会病院にありましたが、孤児の減少により廃止されました。その後、2006年に設置申請後、2007年に熊本県熊本市慈恵病院に赤ちゃんポスト設置の許可がおり、現在でも運用されています。
赤ちゃんポストに預けられた赤ちゃんはどうなるの?
赤ちゃんポストに赤ちゃんが入れられると、アラームがなり医療従事者が駆け付ける仕組みになっています。防犯上ロックがかかるポストの中は常に36度に保たれた保育器です。預けられた子どもはすぐに医師による健康状態のチェックが行われ、親の同意がない場合は乳児院に一定期間預けられた後、特別養子縁組がなされ新しい家族を捜します。
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なぜ二例目の赤ちゃんポスト設置が検討されたのか
「こうのとりのゆりかご」には、2007年の設置以来、10人の赤ちゃんが近畿地方から預けられています。そして、悲しい現実ですが年々需要が高まっています。最悪の事態を避けるため、2例目の赤ちゃんポストの設置が検討されました。
赤ちゃんポストを運営しているNPO法人「こうのとりのゆりかご in 関西」とは?
赤ちゃんポストを運営するNPO法人「こうのとりのゆりかご in 関西」は、お母さんと生まれてくる赤ちゃんの幸せを願って設立された団体です。地元関西を中心に講演活動を積極的に行っています。提供しているサービスは、相談する人がいなくて困っている妊婦へのSOS妊娠相談や、新たな赤ちゃんポストの設置を目指すことです。
赤ちゃんポスト設置予定のマナ助産院について
マナ助産院の「マナ」とは、旧約聖書の中に出てくる荒野で道に迷う民に神が与えた食べ物のことです。生まれてくる赤ちゃんが、たくさんの愛情を受けてはぐくまれていくことを願っています。マナ助産院は、1993年に開設以来2000人以上の出産を扱っており、24時間体制で出産に対応している助産院です。「面談型」になるので赤ちゃんポスト自体は設置しませんが、計画当初はこの助産院のスタッフルームの一角に設置予定でした。
「こうのとりのゆりかご」プロジェクトとは
「こうのとりのゆりかご in 関西」は、熊本県慈恵病院の「 こうのとりのゆりかご 」の活動に賛同し、設立の趣旨に賛同し、関西に望まない妊娠の相談窓口、匿名出産の受け入れ体制、新たな「こうのとりのゆりかご」などの設置と支援を目的としています。
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ケーキづくりと旅行が大好きな母です。本業と執筆活動頑張っています!
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