経営者やアスリートなど、成功を収めている人々に共通している能力として注目を浴びている「GRIT=やり抜く力」。アメリカの研究者が提唱したこの力は、子どもが将来、自立して生き抜いていくうえでも必要となる大切な力です。才能や知能指数(IQ)とは違い、後天的に身に着けることができるGRITを子育ての中でどう育み伸ばしていくか、考えてみましょう。
成功に必要なのはGRIT=やり抜く力
アメリカをはじめ、世界中の経営者やビジネスマン、アスリートなどの間で、成功するためにいちばん大切なものとして挙げられている「GRIT(グリット)=やり抜く力」。昔から「継続は力なり」という言葉あるように、いまさらな気もしますが、GRITが注目されるようになったのは2016年に『GRIT やり抜く力』という本が出たことがきっかけです。
GRITは才能やIQよりも大切なもの
『GRIT やり抜く力』の著者、ペンシルベニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワースは「成功するには、才能やIQの高さよりも『GRIT=やり抜く力』が重要だ」と説きます。アンケートを行った結果、分野にかかわらず、成功した人に共通しているのは「粘り強さ」と「自分が何を成し遂げたいか理解する」ことであるという結論に至ったのです。「継続は力なり」という言葉があるように、日本人は昔から努力や継続を評価する傾向にあり、新鮮な主張には思えないかもしれませんが、改めて学者が調査・研究してこうした結論を出すと、興味を覚えずにはいられませんね。
一つひとつの積み重ねと明確な目標
どんな分野の成功者も共通して「やり抜く力」にすぐれている、というのがダックワースの主張です。例えば、すぐれたアスリートほど地味なトレーニングを一日も欠かすことなく、毎日積み重ねています。しかし、ただ何かを続けるだけでは成功することはできません。その背景には「大きな大会でいい成績を残したい」「記録を残したい」といった確かな目標を持つ必要があります。これがダックワースの言う「粘り強さ」と「自分が何を成し遂げたいか理解する」ということなのです。
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子育てで子どものGRITを養おう
「GRIT=やり抜く力」は学校の勉強や仕事、さらには生きていくうえで必要な力。子育ての中でも、ぜひ子どものGRITを養うような取り組みをしたいものです。とはいえ、どのようにして、粘り強い姿勢や自分の方向性を考えることを子どもに教えていけばよいのでしょうか?
ハードルの高いことに挑戦させる
ひとつのことをやり抜くには難しい課題を与え、課題を解決するためにチャレンジするという経験をしなければならないとダックワースは言います。その意味で、習い事はとても効果的です。しかし、注意点がひとつ。習い事には子どもが熱中できるものを選ぶ必要があります。子どもに判断力がなく、親が選ぶことが多いかと思いますが、その場合は子どもがやめたいといいだしたら勇気を持ってやめること。ダックワースは「すでに授業料を払っている期間が終わるなど、区切りの時期が来るまではやめないこと。そこまで頑張れたら、やめてもよい」としています。
あるいは「熱中できること」という観点で考えると、必ずしも習い事ではなくてもよいかもしれません。例えば、レゴブロックなど何か子どもが大好きで熱中できることがあれば、少し難しいキットを与えるなどして、自分で四苦八苦しながら考える経験ができるのではないでしょうか。
親もハードルの高いことに取り組むこと
子どもには「ハードルの高いことに取り組め」と言っておいて、親は知らん顔ではなかなかGRITを身につけることは難しいでしょう。ダックワースも「周囲の大人が見本を見せることが大切」と説いています。
ダイエットでも試験勉強でも、何でもかまいません。親もそれぞれ「〇kg痩せる!」「資格試験に合格する!」などの目標を決め、目標に向かって継続的に取り組みましょう。子どもに継続する姿を見せることは、子どもにとってもよい刺激になり、「自分も頑張ろう」と思えるはずです。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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