今と昔も変わらず、子育てをすることは母親をはじめ、家族にとって大切なことです。しかし、時代の流れや研究が進んだことにともない、今と昔では子育ての方法も変化してきました。また、現在は生活環境も複雑化していることによって、子育ても昔のほうがシンプルだったのでは?と思えるケースもあります。ここでは今と昔の子育てについて、ご紹介します。
今と昔の子育ては、どう変化している?
今も昔も、子どもを大切に育てようという気持ちは変わっていないといえるでしょう。ですが、常に子育てに対する研究や取り巻く環境は変化しており、昔の子育てが今では一般的ではなくなっていることもあります。今と昔の子育てで、異なる点や変わらない点を見て行きましょう。
母乳を与えるべきですか?ミルクを与えるべきですか?
母乳もミルクも子どもにとって大切なものです。母乳を与えるかミルクを与えるかは、個人差があると思いますが、昔(昭和40年代)はミルクを与えるほうが栄養があると思われていた時期もあったといわれています。また、お風呂上りにはさゆを飲ませる習慣もありました。今(平成20年代)では、約90%の妊娠中の女性が母乳で子どもを育てたいと考えているといわれています。さらに、さゆは必要ではなく、母乳やミルクで栄養は十分に足りるという価値観が主流となっています。
離乳食のタイミングと主な食材の変化
今と昔では、離乳食のタイミングや与える食材も異なっています。昔は、離乳食を食べさせるのは、生後5カ月頃からという考え方が主流でした。また、離乳食として与える食材も、卵からはじめるというものでした。しかし、今の離乳食は、生後5~6カ月頃から開始し、ベビーフードなどを必要に応じて取り入れている母親が増えています。また、アレルギーの関係もあるため、食材は卵を必ずしも与える必要はなく、様子を見ながら与えるという姿勢が大切だと考えられています。
卒乳の時期は、今と昔では異なっている
昔は、ある程度の時間を経たら、母乳には栄養価がなくなるといわれていました。そのため、ある程度の時期が来れば、卒乳を促し、生後1年までには離乳させるという流れを取っていました。一方、今では母子手帳にも「断乳」の時期の記載がなくなり、子どもが自発的に卒乳する時期を待つという姿勢になっています。また、離乳に対しても、生後12カ月~18カ月と幅広く設定されるようになっています。
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核家族化などで、シンプルな子育てが減少?
産めよ増やせよの時代は過ぎ、今は出生率も減少してきたため、兄弟姉妹がいない子どもも増えてきています。子ども一人にかける時間やお金は増えてきましたが、その分、子育てに対する考え方や不安も大きくなってきているといわれています。
抱きぐせに対する価値観の違いとは
昔は、抱きぐせがつくので、子どもが泣いても抱っこをすぐにはしないという価値観がありました。しかし、今では抱きぐせの価値観も変わり、子どもが泣いたときには思いっきり抱きしめてあげたほうが、子どもが安心すると考えられています。決して、抱っこ=甘えという図式は成り立たず、むしろ抱っこされることで、子どもの豊かな情緒も育ちやすいともいわれています。
昔と比べて子どもへの対応に慣れていない
昔は、兄弟姉妹が多かったため、弟や妹が生まれると、赤ちゃんの世話を母親とともに自然に行うという習慣がありました。そのため、子どもでも赤ちゃんへの対応に慣れていたといわれています。一方、今の時代は一人っ子で育つ場合も多いため、子どもとのふれあいも少なくなり、初めてふれあったのはわが子だったということもあるようです。
昔より不安感が募りがちな今の子育て
昔は、地域社会とのふれあいも密接だったため、子どもが生まれると近所の人たちが世話をしてくれたり、一緒に遊んでくれたりという光景がめずらしいものではありませんでした。そのため、母親も子育てに対して孤独な気持ちになることが少なかったといわれています。今は、近所づきあいも希薄化し、子育ての悩みなどを共有する機会が少なくなっています。そのため、不安感を抱える母親も少なくありません。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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