原始反射という言葉を聞いたことがあるでしょうか。原始反射とは、赤ちゃんの意思とは関係なく、赤ちゃんが生きていくために胎児の時から見られる反射的な動きを指します。むかし、おなかの中の赤ちゃんは動くことなくただ眠っていると考えられていましたが、超音波による診断が可能になり胎児もさまざまな反応をすることが確認できるようになりました。原始反射は、中枢神経が発達することによってだんだん見られなくなり、次第に消滅するといわれています。今回は、さまざまな原始反射の中から九つをご紹介します。
生まれてすぐに見られる原始反射
胎児の頃から備わっている原始反射の数々は、赤ちゃんが育つうえで欠かせないものです。おっぱいをさがして飲んだり、外部からの刺激から身を守ったりなど、成長するのにとても役立つとされる動きばかりですが、一度消滅した後に再現する反射もあります。
哺乳(ほにゅう)反射(新生児期~生後4カ月頃)
哺乳反射とは、母乳やミルクを飲むための原始反射です。哺乳反射には、探索、捕捉、嚥下(えんげ)、吸啜(きゅうてつ)の四つの反射があります。顔の近くにある乳首を見つけて口を開け、乳首をくわえて吸い付き、飲み込むという一連の動き全てが原始反射なのです。この反射が見られなくなる生後4カ月以降が、離乳食を始めるタイミングともいわれています。
モロー反射(新生児期~2カ月頃)
モロー反射は、モロ反射や驚愕(きょうがく)応答、驚愕反応とも呼ばれ、頭を持ち上げた上体から急に落とそうとしたり、大きな音を聞いたりした時に、ビクッと両手を広げて何かに抱きつこうとする反射を指します。この反射は、赤ちゃんの首がすわるとともに消えていくので、神経が正常に発達しているかどうかを見るポイントとして健診の際に利用されることもあるようです。
足踏み反射(新生児期~2カ月頃)
足踏み反射は、自動歩行反射や歩行反射とも呼ばれます。赤ちゃんの両脇を支えて歩かそうとすると、片足ずつ前に出したり、体を前にたおしたりして歩こうとする反射のことです。まだ自分の体を支えられず、ハイハイもできない赤ちゃんの体にこんな反射がすでに備わっているのですね。この反射は、成長して二足歩行するのにとても役立つとされていて、8カ月から1歳頃に再現するというのも特徴です。
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ほかにもある新生児から見られる原始反射
1カ月健診の際に、先生が赤ちゃんをいろんな方向に動かしたり向かせたりして、驚いたママも多いのではないでしょうか。赤ちゃんの原始反射は、見られるべき時期に見られなかったり、消える時期になっても消えなかったり、左右で大きく差があったりする場合に、成長の度合いや異常があるかどうかを判断する手助けになります。新生児から見られる原始反射には、ほかにどのようなものがあるのでしょうか。
手掌把握(しゅしょうはあく)反射(胎児~4カ月)と足底把握反射
赤ちゃんの手のひらを触るとギュッと握り返してきますが、それが手掌把握反射です。食べ物をつかんで口に運ぶという、生きていくうえで必要な体の動きです。足の指先に触れても、手の場合と同じように指を折り曲げる反射をしますが、猿人だった頃は木登りのために足の指先の力が必要だったため、その名残とされています。手の反射は4カ月頃には見られなくなりますが、足の反射は1歳くらいまで見られるといわれています。
非対称性緊張性頸(ひたいしょうせいきんちょうせいけい)反射(胎児~6カ月頃)
この反射は、例えば上を向いて寝ている赤ちゃんの頭を右に向けると、それにつられて右の手足が伸びて、左の手足は内側に曲がるというものです。赤ちゃんが産道を通る際に、自分で動くのを手助けするといわれています。また、物を見て手を伸ばしてつかんで確かめるという動作の基礎となると考えられていて、生後半年くらいに見られなくなります。
緊張性迷路反射(胎児~3歳頃)
緊張性迷路反射は、赤ちゃんをあお向けにすると手足を伸ばし、うつぶせにすると手足を曲げて体を丸めようとする反射です。物と自分との距離を測る感覚や、二本足で立った際のバランス感覚を発達させるための反射といわれています。また、胎児の時は無重力の羊水の中にいたのが、生まれることで重力のある環境に変化しますが、この反射があることで重力に適応しやすくなるともされています。
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