小さな子どもが初めて死と身近に接するのは、多くの場合祖父母が亡くなるときではないでしょうか。優しかったおじいちゃんやおばあちゃんの死を、小さな子どもにどうやって伝えるべきか、悩むお父さんお母さんも多いと思います。いつかはやってくるそのときのために、人が死ぬということを伝える方法について考えてみました。
子どもは死をどう理解しているの?
生まれて数年しかたっていない子どもたちにとって、死という現象はほとんど理解できないといっていいでしょう。知性の発達や経験によって、その理解は徐々に確立されていくのです。では子どもたちの死への理解はどのように深まっていくのでしょうか。
幼児期の子どもたちにおける死への理解とは?
小学校に上がる前の幼児期の子どもは、死んだらもう生き返らないこと(死の不可逆性)が理解できないといわれています。そのため、死んだ人は再び目を覚ます、おもちゃのように電池を入れ替えればまた動く、などと考えるのです。また生物無生物を問わず全てのものに生命が宿っているとする「アニミズム」の考えを持つ幼児の割合が高いことがわかっています。
児童期の子どもたちにおける死への理解とは?
小学校低学年~中学年になると、死んだら二度と生き返らないということがわかってきます。しかし死は偶然の出来事で、全ての人に起こるわけではなく、自分の身には起こらないこととして捉えています。死の因果関係についての考えも非現実的で、自分が「死んじゃえと思った」とか「いい子にしていなかった」ために誰かが死んだと罪悪感を覚えることもあります。
大人と同程度の理解ができる年齢は?
9~10歳頃になると、死ぬともう生き返らないこと、死には肉体的・生物学的な原因があること、死が誰にも避けられないものだということがわかってきます。死への理解が成熟し、大人と同程度の認識ができるようになるのです。もちろん個人差もありますが、子どもの死への理解はこのように深まっていくと考えられています。
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子どもに祖父母の死を伝えるポイントとは
前述したように、小さな子どもは死の現実を理解するには年齢的にまだ難しく、かといって現実から完全に遠ざけてしまっては、人生における貴重な経験の機会を失うことになります。それでは、どうやって祖父母の死を伝えればいいのでしょうか?
大人たちが悲しみ、故人を追悼する姿を見せる
祖父母が亡くなれば、親戚一同が集まりお通夜や葬儀が行われます。大人たちは故人を悼んで涙を流し、思い出話を語るなど、普段とは違う姿を見せます。そのいつもとは違う雰囲気のなかで、子どもながらに感じとるものがあるでしょう。親も親族の一員としてしっかりと故人の死に向き合い、真心を込めてお見送りをすることが大切です。
子どもの質問へはどう答えたらいい?
「おじいちゃん(おばあちゃん)はどこへ行ったの?」「いつ帰ってくるの?」などと聞かれた場合は、例えば「ご先祖さまと一緒のところへ行ったのよ。もう帰ってこられないけど、○○ちゃんのことをずっと見守っていてくれるよ」など子どもが不安になることがなく、理解しやすいような表現で伝えるようにするとよいでしょう。
絵本の読み聞かせで伝えることもできる
絵本を使えば、絵と文章でそのイメージを伝えることができます。祖父母との別れを扱った、優れた絵本の作品は国内外にたくさんありますので、読み聞かせてあげるといいでしょう。評価の高いものには「おじいちゃんのごくらくごくらく/作: 西本鶏介」「なきすぎてはいけない/作: 内田麟太郎」「うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん/作:ディック・ブルーナ」などがあります。
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3匹の猫と紅茶とフィギュアスケートを愛しています。
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