液体ミルクが国内でも製造・販売ができるよう、規格基準を定めた法令が施行されて約3カ月。2018年11月29日、江崎グリコが「第2回 乳児用液体ミルク メディアセミナー」を開催しました。
第1部は液体ミルク製品化の現状が紹介され、第2部では「男性の育児参加と授乳のススメ」と題した、田中俊之先生の講演が行われました。田中先生のお話に筆者は深くうなずきながら「そうだよね!わかるわかる!」と拝聴させてもらいました。こちらではその講演の様子を詳しくレポートしたいと思います。
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田中俊之先生プロフィール
まずは田中俊之先生のプロフィールをご紹介しましょう。
1975年、東京生まれ。大正大学心理社会学部准教授。厚生労働省「イクメンプロジェクト」の推進委員会委員であり、男性学を主な研究分野としていて、多くの著書もある。
田中先生自身、一児の父で、奥さまが出産された際には育休を取得して積極的に育児に参加されていたそうです。現在も小さなお子さんの育児をしているパパである田中先生が考える、男性の育児参加とは?
父親は育休を取るべし
母親の育休取得率は例年8割以上をキープしていますが、男性の育休取得率は2017年で5%ほど。それ以前は4パーセント以下でした。男女の賃金格差から、夫婦どちらかが育休を取るとするなら、賃金の低い女性が取ることが圧倒的に多いそうです。しかし、男性も育休を取るべきと田中先生は提唱します。ただ、育休も赤ちゃんが生まれてからの数日や1カ月の短い期間ではあまり意味がないとのこと。その理由を次で紹介していきます。
赤ちゃんのお世話は初期からが大切
人間の赤ちゃんは生理的早産といわれ、生後3カ月くらいまでの赤ちゃんは生きていくために誰でも受け入れます。しかし生後3カ月~6カ月ごろには、お世話をしてくれる特定の相手、すなわち母親を見極めるそうです。そのため新生児から育児に参加していないと、赤ちゃんは人見知りとしてパパ相手でも泣くようになります。抱っこしただけでも泣かれるようだと、育児に参加するのもおっくうになりますよね。そうならないためにも、パパも初期から育児にコミットしておくことが重要と田中先生は考えます。
産褥期のママに休んでもらう
命がけで出産した産後のママは心身ともに疲れています。分娩後から6~8週間までは産褥期といわれ、ママが回復するのに必要な時間になります。もちろん、産褥期でも育児や家事はこなしているママが多いでしょう。しかしこの産褥期にパパが育休を取得すれば、ママはその分休むことができます。そのためにも田中先生は、男性でも2~3カ月の育休の取得をすすめています。
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現状での父親の育児参加
育休取得率が低い男性ですが、現状でパパたちはどれくらい育児に参加しているのでしょうか。
平日のパパは育児している?
上記のグラフは父親の一日の過ごし方です。平日の育児時間をみてみると、約2時間。仕事をしながらも、2時間以上育児に携わっているパパも大変ですよね。
そして田中先生は、男性の意識改革だけではパパの育児時間は増えないといいます。前途したように男女の賃金格差を減らすことにより、男性でも育休を取ろうという世の中にならなければ、平日の男性育児時間の増加は難しいといえるでしょう。
“めんどくさい仕事”は女性?
次に、パパはどんな育児に参加しているのかみてみましょう。
お風呂や遊ぶなど、身体を使った育児が多くしめていますね。しかし田中先生は、“めんどくさいこと”や“手間のかかること”は、女性が担うことが多いのでは?と考えているそうです。確かに関わっている育児の%が低い授乳や調乳、離乳食の調理などは、手間がかかるといえるものばかりです。
それに、子どもをお風呂に入れるパパの割合が多いですが、赤ちゃんの服を脱がせてお風呂に連れていくのはママというご家庭が多いのではないでしょうか。そして、入浴後の赤ちゃんを受け取り、身体を拭いて洋服を着せるのもママの役目だったりしませんか?
これは、日本における男女の関係にもいえることだそうで、働く女性に田中先生が話を聞くと、会社でもそういう傾向にあるそうです。例えば、上司(男性)が出張でお土産を買ってきてくれる。でも、それをメンバーに配るのは女性社員ということはありますか。「自分で買ってきたお土産なのに・・・なぜ、自分で配らないのか?手間がかかって面倒」と思っている女性社員は多いかもしれません。育児に限らず、“めんどくさいこと”も男性が進んで引き受けることが必要なのかもしれませんね。
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3人の子を持つ母親で元保育士。
早起きして高校生のお弁当づくりに励む日々を送っています。私の元気の源は推し活。推しってどうしてあんなに尊いのでしょうか。
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