子どもの学習の場は小学校や中学校が基本ですが、学力をより向上させるために塾に通う人は、とても多いです。しかし、家庭の経済的な理由で、塾に通えない子どももいます。そんな子どもをサポートするために作られたのが、スタディクーポンと呼ばれるものです。今回は、スタディクーポンの特徴やメリット・デメリットについて、ご紹介します。
スタディクーポンってどんなもの?
スタディクーポンとは自分ではどうしようもない理由で、塾に行くことができない子どもたちを救うものとして注目されています。では、スタディクーポンとは具体的にどのようなものなのでしょうか?主な特徴をまとめました。
学習塾や家庭教師に使えるクーポン
スタディクーポンは、学習塾や家庭教師を割引価格で利用できるクーポンです。全ての子どもに配られるわけではなく、経済的な事情で塾に通えない子どもに対して配られます。スタディクーポンは高校受験を控えた、中学3年生が対象となっています。クラウドファウンディングなどを通して集めた寄付金が財源となっており、新学期の4月1日から1年間、子どもたちは自分で選んだ塾に通うことができます。
現在では行政と連携して配布している
スタディクーポンの取り組みを始めたのは、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンというNPO団体でした。2011年から活動を開始し、東日本大震災の被災地でクーポンを配布したところ効果が見られたことから活動の場を広げ、2018年には渋谷区でもスタディクーポンを配りました。その後、この動きを受けて2020年から東京都としてスタディクーポン配布することになり、支援の範囲がどんどん広がっています。
大手の学習塾を利用することができる
多くの教育事業者がスタディクーポンの取り組みに賛同しており、学習塾では栄光、トライグループ、家庭教師や通信事業ではベネッセ、Z 会などでクーポンが利用できるようになっています。子どもは選択肢の中から、自由に自分が利用したいものを選ぶことができます。現在もさまざまな教育事業者へスタディクーポンの話をしているそうで、これからもっと選択肢は増えると考えられます。
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スタディクーポンを使うメリットは?
スタディクーポンには、多くのメリットがあります。そこで、低所得の家庭の子どもがスタディクーポンを使うメリットについてお伝えしましょう。スタディクーポンは、教育にまつわるさまざまな問題を解決してくれる画期的なシステムであることが分かります。
教育格差を無くし平等な機会を与える
スタディクーポンのメリットは、なんといっても教育格差を少なくすることです。親の収入と子どもの学校外の教育に使うお金の金額は比例することが分かっており、低所得世帯の子どもは塾に行きたくても行けない、複数教科を習いたくても1教科だけしか受講できないことがあるようです。しかし、スタディクーポンを使えば塾に行きやすくなり、教育格差を埋めて教育の機会が平等に与えられるようになります。
学習意欲が向上し勉強を頑張れる
渋谷区でスタディクーポンの支援を受けた子どもは、クーポンを利用したことで学習に対する気持ちが前向きになった子が32・6%、どちらかというと前向きになった子が44・2%もいるそうです。このようにスタディクーポンには、子どもの勉強に対する姿勢を前向きにしてくれる効果があることが分かります。勉強に対してやる気があると、もっと頑張って良い点数を取ろうと積極的に勉強しようとしますから、学力の向上にもつながりそうです。
他の子どもに渡る、換金される心配がない
スタディクーポンは、使用する個人にひもづけて配布されます。そのため、他の子どもにクーポンが渡ったり、換金されたりする心配がありません。低所得世帯の場合、家計が厳しいとスタディクーポンを売ってお金にする可能性があるのではと危惧されることがありますが、きちんとそうした対策もされているのです。そのため、安心してスタディクーポンに対して支援ができます。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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