出産直後に分泌される“初乳”。初乳は赤ちゃんの健康に欠かせない、貴重なものです。とはいえ、なぜ初乳がそんなに大切なのかピンと来ないママもいるかもしれませんね。初乳は限られた時期だけ分泌され、健康維持に役立つさまざまな機能があります。今回は、初乳の特徴や成乳との違いなどをご紹介します。初乳にまつわるお悩みへの対処法も解説しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
いいことずくめの初乳!三つのメリット
初乳とは産後に分泌される最初の母乳です。まだ自力で食事を摂れない生まれたての赤ちゃんにとって、ママの母乳は大切な栄養源。特に限られた時期だけ分泌される初乳は、特別な役割を担っています。いいことずくめ!初乳のメリットを三つご紹介します。
初乳のメリット(1)赤ちゃんの健康に役立つ
生まれた赤ちゃんが真っ先に口にする、初乳。初乳は赤ちゃんの“生まれて初めての食事”です。初めてという意味でも特別ですが、この時期の母乳でしか得られないさまざまなメリットがあります。まずは初乳に含まれる主な栄養素をご解説します。
初乳に含まれる代表的な栄養素
- 分泌型免疫グロブリンA
赤ちゃんの口や鼻から侵入した有害な病原体にくっつき、無力化する役割があります。 - たんぱく質
ラクトアルブミン、ラクトグロブリンと呼ばれるたんぱく質を豊富に含みます。 - 塩分と脂肪分
赤ちゃんの腸を刺激し排便を促します - その他ビタミン、ミネラル類
ビタミンA、E、亜鉛、ナトリウムなど数多くの栄養素が含まれています。
初乳に含まれるこれらの栄養素は胃や腸管などの免疫機能を高め、赤ちゃんの発育に役立ちます。さらに有害な微生物から赤ちゃんを守る役割もあるといわれています。つまり、生まれたての赤ちゃんを外敵から守るため、そしてその後も元気に成長していくために、初乳が欠かせないのです。
初乳のメリット(2)ママの産後回復とスキンシップ
初乳はママにとってもメリットがあるといわれています。授乳中に分泌されるホルモン「オキシトシン」には子宮の収縮を促す作用があるといわれています。精神的な幸福感を与えることでも知られていて、“しあわせホルモン”とも呼ばれています。
さらに、授乳を通して赤ちゃんとスキンシップを図ることができるのも、大きなメリットです。授乳中はママと赤ちゃんがぴったり密着。赤ちゃんが泣くのをやめて一生懸命おっぱいに吸い付く…ごく短時間かもしれませんが、ママがほっと一息つける瞬間ですね。
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初乳っていつまで出るの?初乳後の授乳は?
赤ちゃんにもママにもいいことずくめの初乳ですが、初乳が出るのはほんのわずかの期間です。初乳の期間が終わった後は「移行乳」が出て、やがて「成乳」へと変わります。それぞれの特徴をご解説します。
初乳が出る時期とは?
授乳はもちろん産後に行うものですが、妊娠中期~後期の時点でママのおっぱいの中では初乳が作られています。妊娠中は女性ホルモンの影響で母乳が外に出てこないようになっているのです。出産後女性ホルモン量が急低下することで、初乳が体外へと出てきます。
日本産科婦人科によると、初乳が出る時期は産後3日~5日ごろまで。この後に6日~7日に出る母乳は移行乳と呼ばれます。そして産後7日以降は成乳が出ます。学会の定義はこのようになっていますが、母乳の出方には個人差があり、産後5日を超えても初乳と見た目にほぼ変わらない母乳が出る人もいるようです。
初乳と成乳はどう違う?見た目でも違う
初乳の色は黄色がかった半透明で、やや粘り気があります。移行乳や成乳とくらべると色も質感も“濃い”のが特徴です。
一方、成乳は白っぽい半透明です。サラサラとした質感で、より水に近いと感じる人が多いようです。移行乳は、両者の中間のような色と質感をしています。
成乳の成分的な特徴としては、初乳より糖分が少なく、カロリーが低いことが挙げられます。初乳は1000mlあたり800kcal~1500kcal。成乳はおよそ600kcalなので、大きな差がありますね。また、初乳にはない「カゼイン」を豊富に含んでいます。カゼインとはたんぱく質の一種で、胃の中で凝固する特徴があります。
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30代、保育士。夫と未就学児の長男・小学生の長女の4人家族。初めての出産で分娩トラブル、乳腺炎、産後クライシス、保活失敗など…数々の「洗礼」を受けた経験から『特別なことをするのではなく、地に足の着いた育児』をモットーに、日々奮闘しています。現在は認定こども園で働く傍ら、ライター業にも従事。
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