待機児童問題解決に向けて各自治体もいろいろな政策を推進していますが、全国的に保育施設の数は足りておらず、特に認可保育園の競争率は激戦をきわめ、希望しても入園できない人が大勢います。この認可保育園入園許可の合否を決定しているのが、「保育園ポイント制」です。今回は、さまざまな問題を内包している認可保育園の「保育園ポイント制の矛盾」を中心にまとめてみました。
認可保育園の保育園ポイント制とは?
認可保育園の入園選考の基準になっている「保育園ポイント制」とは、どのようなものなのでしょうか?また、保育園ポイント制を使った入園審査は、どこで行われるのでしょうか?ここでは保育園ポイント制の基礎知識についてみていきましょう。
保育園ポイント制を使った入園審査を行うのは自治体
認可保育園の運営は、自治体の児童福祉事業の一環として行われていますので、認可保育園に入園したい場合は、保育園ではなく市町村への入園申し込みが必要となります。もしも募集定員よりも応募者数が上回った場合、審査によって合否を決めなければなりませんが、この時に使われる審査の方法が「保育園ポイント制」なのです。
保育園ポイント制にはふたつの判断基準があります
保育園ポイント制では「基準指数」と「調整指数」と呼ばれる、ふたつの指数によりポイントが決定され、このふたつの合算ポイントが、入園許可の合否の判断基準になります。保育をできない理由を項目別に点数化した「基準指数」を合計し、さらに「調整指数」で基準指数以外の細かな点を考慮してポイントの加減を行い、最終ポイントが多い順に入園許可が下りるのです。
基準指数では出産の点数が低くなっています
「基準指数」では、親が仕事などの理由で子どもの保育をできない時間が長ければポイントが高く、出産や求職中などの理由の場合ではポイントが低く設定されています。そのため、出産後、復職したいママにとっては、「出産」の保育園ポイントの点数の低さは、復職を阻む大きな壁になってしまうのです。「いままで培ったキャリアがたった1枚の紙で不意に・・・」ということもありえます。
合わせて読みたい
保育ポイントが同じ場合の審査方法
基準指数と調整指数に基づきポイントを決定する保育園ポイント制ですが、同じような家庭環境だった場合、ポイントが同じになる可能性も出てきます。もしも、算出された合計ポイントが同じだった場合は、どのように判断されるのでしょうか?
保育ポイントが同じ場合の判断基準【1】
もしも、基準指数と調整指数の合計ポイントが同じだった場合は、自治体によって異なりますが、「基準指数が高い」「地区に在住している」「兄弟が希望する園に在籍中」「住民税額が低額(収入が低い)」などの条件を加味して総合的な判断がなされています。これらの判断基準は、各自治体の公式サイトや、各地自体に直接問い合わせをすることで知ることが可能です。
保育ポイントが同じ場合の判断基準【2】
保育園ポイントが同じ場合の判断基準の一例として、東京都の練馬区では、ポイントが高い順番に、災害・不存在・障害・疾病負傷・就労・介護・通学・出産・就労(内定)・求職となっています。つまり保育園ポイントが同じだった場合の判断基準では、災害や障害などのポイントが高く、出産や就労、求職はポイントが低くなっているのです。
「なぜ自分だけが落ちるのか?」という不満も
保育園ポイントの合計点数が同じだった場合は、総合的に見て「より困っている家庭」に入園が許可されることになるというのは、制度の在り方としては正しいように思えますが、「同じ点数でなぜ自分だけが落ちるのか?」といった不満の声が上がっているのも確かです。この不満をどう解消していくかが、保育園ポイント制を扱う、自治体の大きな課題と言えるでしょう。
合わせて読みたい
22歳17歳10歳三人の子持ちママ。恋愛小説や趣味で育児4コマ漫画を描いてます。
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。