妊娠・出産には多くの費用がかかりますが、通常は病気とみなされないため健康保険の適応外となっています。この負担を軽減するため、国や自治体が設けているのが出産助成制度です。こうした制度にはどんな種類があり、助成額や申請方法はどうなっているのでしょうか?ここでは、高齢出産でも受けられる助成金についてご紹介します。
高齢出産とは?
高齢出産とは、統計や医学上使われる言葉で、35歳以上で妊娠・出産することを指します。日本産婦人科学会では、特に35歳以上の初産と定義しています。この年齢は、女性の社会進出や晩婚化などを影響とした初産年齢の遅延にともない、WHOなど、諸外国の水準に合わせる形で平成3年(1991年)ころに、30歳から引き上げられました。
30歳を過ぎると、妊娠・出産にかかるリスクは徐々に増えてくるため、特に35歳という年齢に意味はなく、高齢出産というだけで不安を感じることはありません。母子の健康をサポートする医療体制も充実し、出産総数に対する高齢出産率は、2000年ごろの10%台前半から、2013年には20%台後半へと増加しています。
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出産助成金の種類と適用条件の基本
妊娠・出産のための助成制度は、大きく分けて「不妊治療のための助成金」「出産前の費用の助成金」「出産後の助成金」の三つがあります。それぞれ住んでいる地方自治体によって差異はありますが、ほとんどの出産助成金は高齢出産でも申請することは可能ですから、まずは基本を知っておきましょう。
ただし、不妊治療のための助成金については年齢制限があるため、高齢出産で不妊治療を検討する場合は確認が必要です。
1.不妊治療のための助成金
厚生労働省が不妊治療の費用を助成する「不妊に悩む方への特定支援事業」に基づき、国が補助する事業費用から各地方自治体が支給するのが、「特定不妊治療費助成金」です。
助成限度額は1回15万円までで、採卵をともなわない凍結胚移植や、採卵を試みて卵が得られないケースなどの理由で中止した場合、限度額は半額の7.5万円までとなっています。
この助成には以下の三つの制限がありますので注意しましょう。
- 「夫婦合算の所得額730万円未満」という所得制限
- 「治療開始時の年齢が43歳未満」という年齢制限
- 「40歳未満は通算6回・40歳~43歳未満は通算3回」という、年齢制限および受診回数
自治体によって特例が付加されているケースもあるため、高齢出産の場合は、住んでいる地域の自治体窓口に早めに相談して治療開始の時期を検討しましょう。
2.妊娠中の費用の助成金
妊娠中には母子の定期的な健康診査が必要ですが、2009年に国が「完全無料化」の声かけで助成を開始したのが「妊婦健康診査助成」です。しかし、助成主体である地方自治体によって全額無料助成もあれば、所得制限や助成の割合が低いなど助成内容に格差があります。自治体の助成の程度を、事前に調べておきましょう。
この他、経済的な理由のある人には、入院費などを援助する「入院助産費用の援助」や、出産後の助成金である出産育児一時金の範囲内で出産費用を無利子で融資する「出産費融資制度」などもあります。地方自治体によって、出産までの独自の助成金を設けている場合もあるため、市役所などの窓口で問い合わせてみましょう。
3.出産後の助成金
出産費用の負担を軽減するために支給されるのが「出産育児一時金」です。勤務先の健康保険・共済組合、国民健康保険の加入者(または被扶養者)であれば、妊娠から85日以上経過した全ての人に50万円が支給されます。
婚姻届を出していない事実婚・父親不明の場合も支給対象となりますが、被扶養者の場合は、出産する前に被保険者が退職したり、死亡したりして資格を失うと支給されません。
また、勤務先の健康保険に加入していれば、産休で会社からの給与が出ない場合に支給される「出産手当金」もあります。
申請すると標準報酬日額の2/3が支給される制度で、条件を満たしていればパートやアルバイトでも請求できます。なお、国民健康保険加入者は対象外となっています。他にもハローワークが施行する「育児休業給付金」や、分娩(ぶんべん)で赤ちゃんに重度の障害が出た場合の「産科医療保障制度」、各自治体独自の「出産祝い金」などがあります。
助成金の種類や金額、条件は各地方自治体で異なる場合がありますから、申請方法や、申請・受取のための期間は、きちんと窓口で確認しておいたほうがよいでしょう。
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