これから再婚禁止期間の制度はどうなる?
再婚禁止期間が民法に定められたのは、1898年のことです。当時は技術がなかったかもしれませんが今の時代はDNA検査技術もあり父親が簡単に特定できるので、再婚禁止期間は必要ないと感じる人も多いでしょう。昔に定められた法律は、これからどうなっていくのでしょうか?
法改正前は6カ月とされていた時代も
1898年から2015年まで、再婚禁止期間は100日ではなく6カ月でした。男性は離婚後すぐに結婚できるのに女性は6カ月も待たされることに、憲法の「男女平等権」を侵害しているという声がよく挙がっていたのです。
またDNA検査も1994年には日本で犯罪の証拠立証に使われるなど実用できる状態でしたが、法律は変わらないまま。1995年に広島県の女性が再婚禁止期間は違憲だと訴えましたが、裁判所は違憲かどうかも判断せず主張にを退けたという過去もあります。
2015年に再婚禁止期間の違憲判決をされる
2011年に岡山県に住む女性が「再婚禁止期間により結婚が遅れ、精神的な苦痛を受けた」と日本国政府を訴えたことがありました。地方裁判所はその主張を却下しましたが、2015年12月16日最高裁判所により、「100日以上の規定は違憲だ」と判決。裁判官、裁判員など15人全員が認めています。
そして2016年6月11日に、妊娠の可能性が低い場合や、子どもの特定ができる場合は再婚禁止期間を除外するという法改正案が、国会で成立しました。
再婚禁止期間はすべて必要ないという意見も
2015年最高裁判所の裁判官は「再婚禁止期間そのものが違憲であり、期間は不要」だと意見を出していたり、弁護士が再婚禁止期間を「本来、国がおこなうべき法改正をおこなわず、国民に損害をあたえたとする立法の不作為」だと主張したりもしました。
また今のDNA検査技術を考えると再婚禁止期間の「父親を特定するため」という目的が達成されるので、必要がなくなっていくかもしれません。今後、再婚禁止期間の規定はなくなる方向で進んでいく可能性があるでしょう。
おわりに
女性のみ離婚後100日間再婚が禁止されています。除外されるケースは妊娠していないこと、妊娠の可能性が低いこと、子どもの父親がわかっているときです。再婚禁止期間については昔から否定的な意見があり、2015年には一部違憲だと認められました。これからも再婚禁止期間の必要性が問われれば、「期間すべてが違憲」だと認められる日も近いかもしれません。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
ピックアップ
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。