ひと昔前までは、子どもがいるとなかなか働きづらいという風潮がありました。しかし、最近は新しい働き方や柔軟な働き方、その他多様な働き方ができると注目されている、ファミリーフレンドリー企業が増加傾向にあります。子どもがいても働きやすいファミリーフレンドリー企業とは、どのようなタイプの企業なのでしょうか?今回は、ファミリーフレンドリー企業について、ご紹介します。
今注目のファミリーフレンドリー企業とは
仕事だけではなく、仕事や育児、介護などと家庭を両立するためにさまざまなサポートを行っている企業を、ファミリーフレンドリー企業と言います。現在の日本では平成29年3月に育児・介護休業法が改正され、国を挙げて仕事と育児、介護の両立をより目指すようになりました。
つまり、子どもがいても介護をしている人でも生活と仕事の両立ができるように安心して働けるような仕組みづくりを国や企業が主体となり、推し進めているというわけです。
ファミリーフレンドリー企業は、具体的に以下の4つの柱からなります。
1.水準以上の育児介護休暇・休業の取得率
ファミリーフレンドリー企業は、水準以上の育児や介護の休暇、または休業の取得率を持っている企業ということです。仕事と家庭の両立ができるような制度を作っても、周囲の目や忙しさから、なかなか取得することができないというケースもあるでしょう。休みが取れるようになっていても、取得しなければ意味がないのです。
数字で見るなら取得率が一つの指標となりますし、男性従業員の取得率も分かります。こういった企業努力により、パパ休暇やパパ・ママ育休のプラスなど、仕事と両立する働き方を実現することができるのです。また、最近増えている介護による離職を防ぐという側面もあります。
2.仕事と家庭のバランスに配慮して柔軟に働ける
短時間勤務制度などで、柔軟に働くことができるのもファミリーフレンド企業のよいところ。家庭の都合に合わせたフレックスタイム制の導入や、子どもの看護休暇制度を取りやすい環境などが整っています。性別や年齢に関係なくワークライフバランスが取れた職場がファミリーフレンドリー企業の特徴です。
3.仕事と家庭を両立する制度がある
子育てと仕事を両立する環境を目指すのであれば、やはり子どもの保育に関する問題は避けては通れないと言ってよいでしょう。そこでファミリーフレンドリー企業でも、多くの対策を講じ始めました。一番代表的なものとしては、企業内に保育所が併設されているというパターンではないでしょうか。企業内に保育所があることにより安心して働けて、自宅や会社から離れた保育所に子どもを預けに行くという手間も省けます。また、子どもが急な熱を出した際などは比較的素早く駆けつけることができるため、この点も親として安心のポイントだと言ってよいでしょう。育児・介護サービス利用料の援助措置が取られている企業もあります。
4.仕事と家庭が両立しやすい企業文化を持っている
いくら制度が整っていても、企業にそれを利用できる雰囲気がなければ意味がありません。家庭と仕事の両立について企業のトップや管理職、周りのスタッフの理解があることは大切です。特に、男性労働者でもいろいろな制度を利用しやすい雰囲気があることが求められます。
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ファミリーフレンドリー企業を目指すメリットは?
企業がファミリーフレンドリー企業を目指すメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?従業員にとってファミリーフレンドリー企業は働きやすい環境で、離職率が低くなりやすい企業と言ってもよいでしょう。以下に、従業員や企業にとってのメリット、そしてデメリットについてお伝えします。
ファミリーフレンドリー企業を目指す意味とは?
ファミリーフレンドリー企業として、稼働している大企業も多い昨今。その背景には、労働人口の多くに現在子育て・介護世代が含まれているというポイントが挙げられます。子育てと介護をしながら仕事もするとなると非常に大変ですが、それらの負担をうまく軽減するということを、企業単位のミッションとしているケースもあります。またそれを後押しするかのように、現在法律の面でも、ファミリーフレンドリー企業を推進する動きが見られているのです。
ファミリーフレンドリー企業のメリット
ファミリーフレンドリー企業であることのメリットには、どのようなものがあるでしょうか。これは企業側のメリットと、労働者側からのメリットの二つに分けることができるでしょう。
まず企業にとってのファミリーフレンドリー企業であり続けることのメリットとしては、労働者のモラル向上や離職率の低減、そして突発的な欠勤を防ぎ、稼働率を向上させるというメリットがあります。
一方、労働者にとっては、家族とのコミュニケーションをとる時間が増えることや仕事の満足度が向上すること、そして何よりも家庭と仕事を両立させやすくなることからストレスの減少などが見込まれることでしょう。
ファミリーフレンドリー企業のデメリット
ファミリーフレンドリー企業として稼働することのデメリットは、そこまで多くはありません。ただし、新しい人事制度や福利厚生の環境整備にコストがかかったり、時間がかかったりするケースもあります。それらはデメリットだと言えるでしょうが、労働環境の整備は優秀な人に長く働いてもらうためにも、先行投資としてやはり取り組んでおきたいところです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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