育休は本来、期間が決められていますが、何らかの理由で育休を延長したい場合もありますよね。しかし育休を延長するために、会社に申請をしても断られたという話を聞く事があります。この場合、育休延長を断られるのは違法なのでしょうか?ここでは、育休延長について詳しく解説します。
育休の延長を断られたら違法なの?
それでは早速、育休の延長を断られた場合、違法になるのかというテーマで見て行きましょう。実は、育休の延長は、出来るケースと出来ないケースがあります。そのため、それぞれを理解した上で申請する事が大切です。
育休の延長手続きが出来るケースとは?
これまで労働者は、原則として子どもが1歳になるまでの間、育休を取得する事が育児・介護休業法によって定められていましたが、平成29年10月1日より、以下の事由に該当する際は、1歳6か月まで育休を延長する事が出来るようになりました。
- 保育所等における保育の利用希望申込みを行っているが、その子が1歳6か月に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合。
- 常態として、育休の申し出に係る子の養育を行っている配偶者であって、その子が1歳6か月に達する日後の期間について、常態としてその子の養育を行う予定であった方が死亡・負傷・疾病等に該当した場合。
育休の延長が出来ないケースとは?
育休の延長は、大前提として「やむを得ない事情がある」場合に限ります。そのため、「やむを得ない事情」であるという事を証明できない場合は、育休の延長が出来ない事になります。
例えば、保育所などの入所申し込みを行ったのにも関わらず、「保育所に落選した」という申し出によって、育休の延長をすることは不可能です。
育休の延長を断られたら違法?
ところで、やむを得ない事情があるにも関わらず、育休の延長を断られた場合は違法になるのでしょうか?
結論から言うと、育休の延長を断られた場合は違法という事になります。会社側にとっては、復帰に向けて準備をしていた時に育休の延長が行われると、負担が大きくなりますが、育児・介護休業法の第6条により、条件を満たす労働者から育休延長の申し出があった場合は、それを拒むことは出来ないと定められています。
育休延長拒否の罰則としては、厚生労働大臣による報告要請や20万円以下の罰金などの罰則も定められています。
合わせて読みたい
育休延長を断られたら違法【育休法改正のポイント】
次に、育休の延長を断られた際に覚えておきたい、育児休業改正のポイントをご紹介します。日本では、平成29年10月1日より育児休業法が改正されました。これにより、労働者がより守られる制度へと変わってきています。
子が2歳になるまで育休延長の申請が可能
子どもが2歳になるまでは、育休延長の申請は可能です。
これは、条件が揃えば、1歳6か月到達時点で育児休暇延長が必要な場合に限り、企業側に育休延長の申請を行う事が出来ます。対象となる条件は、以下の通りです。
- 育児休業の対象の子どもが、1歳6か月に達する日において、従業員本人または配偶者が育児休業をしている場合。
- 育児休業の対象の子どもが、保育所に入所できない等、1歳6か月を超えても休業が特に必要と認められる場合。
出産予定の従業員に対して、育児休業等の制度等を周知する
法改正後、企業側は従業員もしくはその配偶者が、妊娠・出産した事を知った時に、関連する制度について知らせる措置をとる努力義務がつけられました。
これは、育児休業についてのハラスメント防止という意味合いも強く、労働者が安心して子育てに専念できるような社会づくりを目的としたものです。そのため、出産予定のある従業員に対して、必要な育児休業等の制度を知らせる措置を取らなかった場合は、会社側は努力義務を怠っているとされます。
育児目的休暇の導入促進
育休改正法によって、企業側は小学校就学までの子どもをもつ従業員に対して、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける事を義務付けています。
また、そのような育児に対する目的で利用できる休暇制度を周知するための努力義務も課せられています。
育児に関しては育休中だけではなく、何かと育児に関する目的で休暇を取りたい場面が出てきます。そのような時に、従業員が安心して休暇を取得できるような制度を、企業側は設ける努力義務が課せられているのです。
合わせて読みたい
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。