今や「ブラック企業」はTVなどのメディアでもよく耳にする言葉です。そしてその波は保育業界にも…。「ブラック企業」ならぬ「ブラック保育園」が存在するのです。ブラック保育園とはどういう保育園なのでしょうか。ブラック保育園と、その対極にある保育士に優しい「ホワイト保育園」を比較してみたいと思います。そしてブラック保育園は子どもや保護者、働いている保育士にどんな影響を及ぼすのか考えてみました。
そもそも「ブラック保育園」の基準とは
まず「ブラック企業」とはどのような会社のことを指しているのでしょうか。厚生労働省によると「ブラック企業」について定義はしていませんが、一般的な特徴として
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払い残業やパワハラが横行する。企業のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に過度の選別を行う
とあげています。
それでは保育士が感じる「ブラック保育園」とはどのような保育園なのでしょうか。
「ブラック保育園」ソフト面(待遇、労働条件など)
「もう働くのがつらい…辞めたい」なんて思ってしまうようなブラック保育園。ソフト面ではどんなことが考えられるでしょうか。今、働いている保育園がどれだけ当てはまるかチェックしてみましょう!
- 給料が低く労働と賃金が割に合わない
- タイムカードがなく、残業代や休日出勤手当ない
- 長年勤めても、微々たる昇給しかしない
- 人件費削減のためか、保育士がギリギリの人数で保育している
- 代わりの先生がいないので有給休暇が取れない
- 事務作業や制作準備など、家で作業することが多い
- 必要で買った折り紙や画用紙、遠足の交通費などが経費で支払われない
- 遅刻やミスはペナルティーとして罰金・減給される
- 働く環境が悪いため離職率が高い
- 数カ月前に申告しても、園の都合で希望日に退職できない
- 給食費を払っているのに、十分な量が提供されない、食べる時間が取れない
- 保育士資格を持たない保育補助スタッフと扱いが同じ
YESにチェックした箇所が多いほど、その保育園のブラック度は深刻です。
そしてこれらは今社会の問題となっている保育士不足にも大きく関係しています。保育士が少ないと、有休を取ることも難しくなります。保育士一人に対する仕事の量も増え、自宅に持ち帰らないと終わらないときも多くあるでしょう。そして、そこをいたわるどころか、ミスにペナルティーの罰金を科す保育園まであるようです。ブラック保育園は保育士の離職率が高いため、いつでも人手不足の悪循環に陥りやすく、改善はなかなか難しくなります。
そして注意しておきたいのが、認可保育園だから、無認可保育園だから、などは「ブラック保育園」の有無に関係ないということです。認可でも無認可でも、運営状況によっては、どこの保育園でもブラックになる可能性があるのです。
ブラック保育園のハード面(施設、環境など)
ソフト面での保育士の待遇をみていきましたが、ハード面ではどういうところがブラックなのでしょうか。
- 掃除する時間が取れなくて、施設やおもちゃが不衛生
- 園庭のメンテナンスができていない
- 冷暖房がないので、夏場は暑く室内でも危険
- 施設の受け入れ可能な子どもの定員数を上回っている
- 監査が入るときだけ、都合の悪いことを隠す
一つでもYESがある保育園は、改善する必要がありそうです。
施設やおもちゃが不衛生だと、感染症が流行する可能性が高いです。また、0歳児の部屋には冷暖房があっても、6歳児の部屋にはないから我慢!というところも…。
子どもを定員以上受け入れてしまった場合、部屋が狭い上に目が行き届かない危険もあります。
保育園に監査が入る場合、事前に連絡がはいることも多くあります。そのため「少しの違反だから、監査の日だけ乗り越えれば大丈夫」と、都合の悪いことを隠す園もあります。ブラック保育園のハード面は子どもたちにも悪影響を及ぼすので、早急に改善するように働きかけることが必要です。
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ブラック保育園を見分けるポイント
就職してからブラック保育園だったと気づいても、すぐに転職することは難しいでしょう。では、入社前にブラック保育園を見分けるにはどうしたらいいでしょうか。
1.必ず見学に行く
百聞は一見にしかず!就職したい保育園を決めたら、必ず見学に行くことをおすすめします。見学で確認しておきたい「ホワイト保育園」のポイントは以下の通りです。確認ポイントがたくさんあるので見落とさないでくださいね。
2.建物について
築年数が新しいほどきれいでしっかりしているが、古い建物だとしても、耐震はしっかり施されているか、トイレ、水回りなどは清潔に保たれているかを確認。
3.給食とおやつの充実
子どもたちに十分な栄養と量の給食、おやつが出されているか。保育士も給食だった場合、その内容と天引きされる給食費も確認しておく。
4.周辺の環境
自宅から通いやすい場所にあるか。周りの環境や、園庭、近くの公園なども見ておく。園庭がない保育園の場合、ほぼ毎日公園に行くことになるので、近くに公園がないと大変なことも。
5.セキュリティチェック
誰でも簡単に園内に入ってこられないよう、セキュリティーはちゃんとしているか。地震や火事のときの避難経路は確保されているか。廊下や階段などに荷物が無造作に置かれている保育園は要注意。
6.園長先生と話す
園長先生とお話して、その人柄に触れてみる。最初の印象は大切。園長先生の人柄により、その保育園のカラーが決まることも。
7.子どもや先生の表情
子どもや先生が楽しく過ごしているか。さみしそうな子ども、ほうっておかれている子どもはいないか。先生同士のコミュニケーションが取れているか。
なかなか短時間の見学ではこれらをチェックすることは難しいかもしれませんが、納得して働くために知っておきたいポイントです。
8.口コミサイトの利用する
インターネットには、実際に保育園に通っている保護者が書き込みした口コミサイトがたくさんあります。すべての情報をうのみにしてはいけませんが、のぞいておくと参考になるかもしれません。施設見学では得られなかった情報が書いてあることもあります。
9.保育士専門の求人サイトを利用する
保育士の求人なら、保育士専門求人サイトを利用することをおすすめします。保育士専門求人サイトは、専任のキャリアアドバイザーがあなたの条件にあった仕事を探してくれます。そして面接からアフターサービスまで対応してくれるので、とっても安心です。
10.キャリアアドバイザーに確認しておくこと
保育士専門求人サイトは、各保育園に関する情報をたくさん持っています。仕事を探す上で、専任のキャリアアドバイザーに自分の条件を確認しておきましょう。
【確認項目】
- 給料は納得できる額か
- 残業代、休日出勤手当、ボーナスがあるか
- 職場の雰囲気はよいか、人間関係は良好か
- ワンマン運営ではないか
- 希望のシフトで働けるか
- 事前に見学は可能か
保育士専門求人サイトの利用者の声をみてみると、満足度が高いことがうかがえます。
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3人の子を持つ母親で元保育士。
早起きして高校生のお弁当づくりに励む日々を送っています。私の元気の源は推し活。推しってどうしてあんなに尊いのでしょうか。
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