近年、「あえて子どもを持たない」選択をする夫婦が増えてきており、そういった決断のことを、「選択子なし」と呼びます。ここでは、選択子なしとは具体的にどのようなことをいうのか、選択子なしのメリットや、選択子なしを決断する上で必要なことなどについて、お話していきます。
選択子なしとは?子なしを選択する理由は?
一昔前までは、夫婦は子どもをつくるのが当たり前だという考え方がありました。なぜなら、日本の慣習的には夫婦の幸せや女性の幸せの象徴は、「子を持つこと」というイメージが色濃くあったからです。しかし近年では、「子どもを持たない選択」をする夫婦が増えてきていると言われています。
それは一体、どういった理由からなのでしょうか?
いつまでも自由に生きたいから
自分の好きなことにお金を使う、友達と飲みに行く、夫婦でゆっくり旅行に出かける。こういったことは、子どもを持つと簡単にはできなくなります。そのため、今の自由な時間が無くなってしまうことが嫌だから、子どもを持ちたくないという夫婦もいます。
育児をするとなれば、自分のための時間はほとんど無くなり、何かと「不自由な」生活になってしまいます。そんなことを想像すると、なかなか子どもを持つ気持ちになれないという場合も多いようです。
子育てできる金銭的余裕が無いから
子育てをするとなると、その分お金もかかります。先行き不安な世の中で、子どもを1人育てるためのお金が捻出できるか心配な夫婦もいることでしょう。頑張れば無理なことではないけれど、わざわざ苦労してまで子どもを持つ必要があるのか、それは子どもにとっても不幸せなことではないかと考える場合があります。
それならば夫婦2人で苦労することなく、それなりに自由な時間を持ちながら経済的にもゆとりを持って生活した方が良いと感じている方も多いのだそうです。
自分の性格に問題があるから不安
中には、「自分の親は毒親だった。自分もその要素を持っているかもしれないから、子どもを持つ自信がない」という理由で、選択子なしを選ぶ夫婦もいます。自分のような思いは子どもにさせたくない、不幸にするくらいなら、はじめから子どもを持たないほうが良いと考えているからです。
心理カウンセリングを受けながら自分の課題と向き合うという選択肢もありますが、子を持ちたいという強い動機がなければなかなか踏み切れないことかもしれません。
合わせて読みたい
「選択子なし」で後悔することはある?
実際に選択子なしを決意された方は、後悔することなくそのまま生涯、子なしを貫くことができるのでしょうか?選択子なしを貫くためには、強い決意と夫婦の結束が必要になるとも言えるのです。
一度は選択子なしを決意したけれど・・・
選択子なしを決意される方の多くは、20代後半~30代前半の夫婦だと言われています。20代のうちは夫婦だけの生活も楽しいものですが、30代に差し掛かると次第に心境に変化が現れることがあるそうです。特に男性が「やっぱり子どもがほしい」と心変わりしてしまうケースが多いのだとか。
男性は本能的に「子孫を残さなければいけない」という気持ちになりやすいとされているので、一度決意したとしてもやっぱり子どもがほしいという気持ちに女性よりもなりやすいのかもしれませんね。
周りの理解が得られるとは限らない
自分たちは選択子なしに納得しているのに、周りからの
- 子どもはまだなの?
- 子どもを持たないなんて親不孝だ
- 老後はどうするつもりなの?
- なぜ子どもを持たないの?
という攻撃に耐えかねて精神的に苦しくなってしまったり、お互いのどちらかの決意が揺らいでしまったりすることも考えられます。まだまだ選択子なしという価値観が認知されていないため、子なしの選択をするのであれば、周りからの攻撃や心無い言葉を受けることも多少は覚悟しておく必要があるかもしれません。
親になってみて初めて気付く感情もある
中には、自分達の不本意で子どもができてしまったというケースもあります。そういった夫婦は、はじめはとても不安だったけれど、生まれた子どもをひと目見た瞬間に「自分では想像もしてないかった感情」に包まれた方も多くいます。
親としての感情、子を持つ幸せ、心から愛おしいと感じる。こういった感情は、実際に親になってみないと分からないのではないでしょうか?子なしを一度は選択したけれど、親になってよかったと感じている方が多いのも事実です。
合わせて読みたい
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。