子どもの貧困問題に対する北海道の取り組み
北海道は全国平均と比較しても子どもの貧困が厳しい状況にあると言えます。ここでは北海道が子どもの貧困問題解決のためにどうような方向性を示しているのか、また子どもの貧困に対する具体的な指標、重点的な施策についてお伝えします。
子どもの貧困対策の基本的な方向性
教育支援として「子どもが貧困の連鎖から脱出するために全ての子どもに教育を受ける環境を確保」、生活支援として「安心して学習に集中できる環境を整えるために生活支援をする」を掲げています。また世帯収入を安定させるために保護者の就労支援にも取り組んでおり、就労だけでじゅうぶんな収入を得られないワーキングプアに対し経済的支援を行うといった基本的な方向性を示しています。
また、前述の夕張市のように財政赤字に陥っている地域では、住民から自治体へ、「緊縮政策だけでなく、次世代への投資に税金を使ってほしい」、「若い人口が増えていくような施策を考えてほしい」という将来を見据えた強い要望が多く届いています。
子どもの貧困改善に向けた具体的な指標値
平成27年度から先5年間、平成31年度までの間に重点的に取り組む課題について指標を示しています。一部をご紹介しますと、生活保護世帯の子どもの高等学校等進学率を現状96.1%から98%に引き上げる、児童養護施設の子どもの高等学校等進学率を現状98.7%から99%に引き上げる、など計10項目について具体的な数値目標を掲げています。
「子どもの貧困対策に関する大綱」に基づく施策とは
北海道が全国平均と比べて子どもの貧困問題が特に深刻であるという認識のもと、2016年8月に国が策定した「子どもの貧困対策に関する大綱」をベースに、「教育の支援」「生活の支援」「保護者に対する就労の支援」「経済的支援」の4つの柱を盛り込んだ施策に重点的に取り組むとしています。国の大綱と比較すると、4つの柱に対して自治体としてのより具体的な取り組みが記されています。
北海道の子どもの貧困問題と向き合う団体の活動
釧路市の「地域生活支援ネットワークサロン」函館市の「函館圏フリースクールすまいる」札幌市の「訪問型フリースクール漂流教室」など、貧困に苦しむ子どもが気軽に集まれる場所、また学習に集中できる場所が北海道内各地に開設されています。貧困だけでなくいじめや障がいを持った子どもなど、さまざまな境遇にある子どもたちが集まって交流し共に学ぶ場であると同時に、子どもの居場所を確保しています。
おわりに
北海道の子どもの貧困問題は全国的にみてもワースト3位に入っており、非常に厳しい状況です。子どもの貧困は複雑に状況が絡み合って生まれますが、北海道ではひとり親世帯の多さと雇用確保の難しさが子どもの貧困を加速させており、改善に向けて自治体の施策にさらなる具体性が必要だと感じました。
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8歳の甘えん坊娘と2歳イヤイヤ息子のママです。読書と野外フェスとクライミングが好きです。
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