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特別養子縁組が成立するまでの流れ
特別養子縁組を希望した場合、相談できる場は公的機関から病院までさまざまです。相談を経て各機関・団体からの斡旋(あっせん)、マッチングが行われたのちに成立となります。ここではマッチングまでの具体的な流れについて、それぞれの違いもふまえみていきまし
児童相談所でのマッチングの流れ
児童相談所においてのマッチングの場合は、まず養子縁組を前提とした里親登録をする必要があります。
登録完了までの道のりは大変で長い
迎え入れ側の夫婦の条件が整っていることが確認できたら、児童相談所へ問い合わせします。その後、認定前研修を受講してから申請をし、家族全員が在宅時に家庭訪問、2カ月に1回開催される「児童福祉審議会里親認定部会」で審議され認定されれば登録完了となります。
実際に子どもと過ごして絆を深める
登録が完了すれば児童相談所から子どもの紹介があり、最初は児童相談所の役員立ち合いの元面会が行われます。子どもとの交流期間は1~3カ月あり、その後、児童相談所が大丈夫だと判断すれば委託が決定します。
しかし、これで成立ではなく委託が決定した後も6カ月間の同居の期間(里親委託措置)があって、この時間にこの子を本当の家族として迎えられるのか最終的な判断を迫られるでしょう。約半年間のこのお試し期間で親となり生活していくことは難しいと判断したら断ることは可能です。
最終審査が終了すれば晴れて成立
6カ月間の同居期間が終了し、何も問題がなければそこで終了…ではありません。その後は家庭裁判所へ申し立てをし、家庭裁判所による調査が行われた後、特別養子縁組の審判が確定し、やっと実子として子どもを迎え入れることができます。民間あっせん事業者の場合は年に数回講習会があったり、育児トレーニングを行っていたりする所もあります。
民間団体でのマッチングの流れ
民間団体の場合は、その機関ごとにそれぞれの方法や条件を設定しているため、決まった流れはありません。各団体の設定している養親の条件を満たしているかを面談や家庭訪問などにより審査され、合格した夫婦に講座や研修を行うという流れになっています。委託時期については、子どもが生まれる前や産まれた直後に各団体によって選定された養親への打診があり、了承すれば仲介開始となります。養親は、子どもが生まれた病院などで育児のトレーニングをうけることもあり、より早期の段階でのマッチングを推進している傾向にあるのが特徴です。
産科・医療機関でのマッチングの流れ
あんしん母と子の産婦人科連絡協議会の養親候補になるには、指定の申込用紙や調査票のほか住民票や所得証明、健康診断書などの提出が必要です。それと同時に児童相談所への里親登録が必要で、行政と医療機関で連携してのマッチングが行われることになります。児童相談所への里親登録は連絡協議会の養親候補になるためにするのではなく、あくまでも元々養親となる意思があり自治体に里親としての登録がしてあるということが前提です。
さらにこの連絡協議会では養親候補となる夫婦に詳細な審査条件を設けています。子どもを委託される時点での年齢が46歳以下であることや、安定した職業についていること、結婚後3年が経過していることも条件となります。そして他とは違う点としては「不妊治療をしてきた経緯がある」という項目が条件に含まれていることです。産科領域からのアプローチとして、行政や民間団体とは違った視点があることがわかりますね。
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新しい家族を迎えるための心構え
新しい家族が1人増えるということは、簡単なことではありません。自分たちが親になって一人の子どもの人生を受け持つのですからそれなりの心構えが必要です。子どもを迎え入れる前に、忘れないでおきたい心構え三つをご紹介いたします。
夫婦2人の強い絆が何よりも大切
特別養子縁組を利用する条件に「離縁は認められない」とあるように、子どもを実子として迎え入れるには夫婦の強い絆が必要です。どちらか一方ではなく、夫婦2人が同じくらい強い気持ちで子どもを思いやることができなければこの先幸せな家庭を築いていくのは難しいかもしれません。常に夫婦2人で話し合い、お互いの気持ちを確かめ合うことを忘れないようにしましょう。
「血のつながり」よりも「気持ちのつながり」
実子として子どもを迎え入れても「おなかを痛めて産んだ子じゃないから」と偏見の目を向ける人もいるかもしれません。でも、大切なのは「血のつながり」よりも「気持ちのつながり」です。子どもを授かることができなくて特別養子縁組を利用した夫婦で、血のつながりなど感じさせないくらい笑顔あふれる幸せな家庭を築いている方々はたくさんいます。周りに何を言われても気持ちのつながりがあれば大丈夫です。気にしないようにしましょう。
子どもの幸せを1番に考えられるか
長年子どもを授かることができなくて悩んでいた方ならなおさら、「子どもが欲しい!」という気持ちが強く、実際に特別養子縁組を利用して子どもを迎え入れることができたときはとてもうれしく幸せな気持ちになると思います。しかし、そのときに注意したいのは自分の気持ちを子どもに押し付けないことです。血のつながりがあっても、子どもと言うのはなかなか思い通りにいかないもの。自分の思いよりも子どもの幸せを1番に考えることができるのが本当の親ではないでしょうか。
おわりに
特別養子縁組は養子縁組や里親制度とは基本理念が違い、子どもが安心できるようなあたたかい家庭の中で、正しい愛着形成を育み成長していくための制度であることがわかりました。里親や養子縁組でもあたたかな養育は受けられますが、特別養子縁組ではさらに「家族」となるための条件や決め事を定めています。それは子どもはもちろん、養親もそして実母も皆が幸せであるようにと考えられている特別養子縁組制度の原点があるからなのですね。
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