「103万の壁」ってなに?「130万の扶養範囲」って?よく聞く言葉だけれど、実際その壁を越えるとどうなるのでしょう?あなたは正しく説明できますか?本当はもっと働きたいけれど損をしたらどうしよう。扶養から外れると一体なにが変わるの?家族のためにがんばるパートママさんたちの疑問や不安をスッキリ解消します。
まずは言葉の意味を正しく理解しよう。
所得控除?扶養範囲?所得税…?大切なことだとわかっているけれどイマイチよくわからない。でもいまさら聞くのは恥ずかしい。本当はもっと働きたいけれど損をしたらどうしよう?そのためには、税金に関する言葉の意味を正しく理解することがとても大切なことなのです。
負担を軽減してくれる!「所得控除」って?
例えば、お給料が同じ金額のAさんとBさんがいます。
- Aさんには専業主婦の奥さんと小さな子どもが3人いる。
- Bさんは面倒をみなければいけない家族はおらず、一人暮らし。
この場合どうみてもAさんの方が生活は大変です。
このようにお給料(=給与所得)が同じでも、生活は人それぞれ違います。その事情を考慮して税金の負担を軽くしてあげる、それが『所得控除』です!所得×税率でその人の税金は決まるわけですが、その前に所得控除を受ければ低い所得で計算されるので税金は安くなります。所得控除にはさまざまな種類があります。
「基礎控除」と「給与所得控除」とは
「基礎控除」とは所得控除のなかでも、納税者(私たち)すべてが無条件に差し引ける所得控除のこと。差し引ける金額は一律48万円と決まっています(令和2年より)。つまり給与所得が年間48万円以下の場合は税金はかからないということです。
次に「給与所得控除」があります。これはサラリーマン・パート・アルバイトなど給与所得者で収入が年間103万円以下の人は一律55万円の「給与所得控除」が受けられるというものです。
「扶養控除」と「配偶者控除」とは
面倒をみなければいけない家族(=扶養親族)が多い人ほど税金の負担を軽くするための控除を受けることができます。それが「扶養控除」や「配偶者控除」です。これは夫の給料から差し引かれる控除のことです。
「扶養控除」は16歳以上の面倒をみなけらばならない人(配偶者以外)がいる場合に適用されます。「配偶者控除」は給与収入が103万以下の配偶者がいる場合に適用されます。また、配偶者の給与収入が103万以上の場合でも、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下である等の要件を満たせば「配偶者特別控除」を受けることができます。
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いよいよ「103万の壁」について学ぼう
言葉の意味について理解できたところで本題に入りましょう。まずは103万の壁とは一体なんなのか。所得が103万円を超えると本当に損をするのか?収入が103万円の場合と104万円の場合いくら損をするの?
年間所得が103万円以下の場合の税金は?
1-2の章でご説明した「基礎控除」48万円と「給与所得控除」55万円。これが給与をもらう私たちが一律で差し引ける「所得控除」です。48+55=103、つまり合計103万円を所得から差し引けるということです。
ですから、所得が103万以下ならば「税金のかかる所得はない」ということになるのです。これが『103万の壁』です。
103万円を超えて年収104万になると
年収ごとの税金と手取り額をみてみましょう。
103万円だと住民税7243円、所得税0円となります。103万円以内だと住民税だけかかり所得税はかかりません。※住民税は住んでいる自治体によって変動します。今回は0.7割程度で算出しています。
年収 | 住民税 | 所得税 | 手取り |
---|---|---|---|
100万円 | 0円 | 0円 | 99.5万円 |
101万円 | 6248円 | 0円 | 99.9万円 |
102万円 | 6745円 | 0円 | 101万円 |
103万円 | 7243円 | 0円 | 102万円 |
104万円 | 7980円 | 240円 | 103万円 |
105万円 | 8975円 | 737円 | 104万円 |
106万円 | 5000円 | 0円 | 90.4万円 |
107万円 | 5000円 | 0円 | 91.3万円 |
108万円 | 5000円 | 0円 | 92.1万円 |
109万円 | 5000円 | 0円 | 93万円 |
104万円だと住民税は7980円、所得税が240円、計8220円、手取りが「103万円」となりさほど損をした感じにはなりませんね。
ただ、103万円を超えると配偶者の会社の家族手当(扶養手当)がもらえなくなってしまいます。仮に家族手当(扶養手当)を月に10,000円もらっていたら年120,000円がなくなってしまうことに。103万以内だったら扶養手当の120,000円がもらえるのに104万円稼いでしまうと世帯年収から120,000円消えてしまうということになってしまいます。ゆえにパートで働いている人は「年収103万円の壁」を意識しつつ103万円を超えないように働く時間を調整するほうがよいでしょう。なお、家族手当(扶養手当)はすべての企業にある制度でなないので、旦那さんの会社の制度を確認してみてください。
家族手当がある会社の割合
「配偶者控除」→「配偶者特別控除」になる
私たちの所得に関しての税金は上で説明したとおりです。しかしそれとは別に妻の収入によってご主人の所得控除に変化がおきます。
【妻の所得が103万円以下の場合】
「配偶者控除」の対象になり、夫の所得から38万円の控除(所得金額による)。
【妻の所得が103万円以上の場合】
「配偶者特別控除」の対象になり、段階的に控除金額が定められています。
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小6の息子と小1の娘のママです。パン作りと洋裁が好きです。
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