子どもが安全に過ごせる居場所「子どもシェルター」とは

「子どもシェルター」の現状と未来

シェルターの建物
子どもシェルターは、民間のNPOが経営しています。入所費用は無料です。財源となるものがないため、どこのシェルターも財政的には厳しい状況です。しかし、自立援助ホームの一種として認められつつあり、公的な財政補助が受けられるように変化してきています。

運営はボランティア・定員はすぐにいっぱいに

子どもシェルターは、すぐに定員がいっぱいになってしまいます。それぞれのシェルターが、少規模な受け入れ人数で運営されているせいもありますが、それだけ社会のすき間にこぼれ落ちてしまった子どもがたくさんいるということです。支援の必要な子ども自身からお金をとることはできませんから、収入になるものがありません。運営資金は、財政補助や寄付でまかなわざるを得ず、ほとんどのスタッフがボランティアで働いています。居場所のない10代後半から20歳未満の子どもたちは、犯罪組織に取り込まれたり、性的に搾取されたり、大変危険な状況に置かれることになりがちです。これは社会が解決すべき問題であり、多くの人に現状を知ってもらう必要があります。

代弁者(アドボケイト)としてのシェルター

シェルターに入所すると、それぞれの子どもに「コタン」と呼ばれる担当弁護士がつきます。もともと子どもシェルターが、東京の弁護士会や福祉関係者らによって開設されたという経緯もあり、全国のシェルターで、弁護士が子どもの権利を守るサポートをおこなっています。弁護士は、子どもの気持ちの代弁者となって、児童相談所や親と交渉したり、話し合いをしたりします。この、子どもの代弁者(アドボケイト)という考え方は、イギリスやカナダでは法的に整備されたシステムになっています。1989年に国連総会で採択された子どもの権利条約によれば、子どもには守られるべきさまざまな権利があります。しかし、子どもの声の多くは、無視されてしまいます。特に、シェルターに来る子どもたちは、基本的人権を侵害されている状態にあります。シェルターには、こうした子どもたちの代弁者として、子どもの最善の利益を尊重する役割を担っていくことが期待されます。

おわりに

これまで、子どもシェルターの存在を知らなかったという方がほとんどではないでしょうか。こうした施設は、各都道府県に置かれてしかるべきです。しかし、2004年の設立以来、全国に7つしか存在していないことが、運営の難しさを表しています。中学生、高校生たちはまだまだ保護されるべき子どもです。適切な大人のサポートを受け、自立していく過程にいます。課題解決にむけて、子どもシェルターの取り組みを多くの人に知ってもらうことが必要です。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。

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