発達障害の特徴に適する職業と適さない職業
発達障害の長所と短所はお分かりいただけたかと思います。これを踏まえて、適する職業と適さない職業についてお話します。大切なわが子が将来、自分に合った道を見つけて不安なく生活していくために、参考にしてみてくださいね。
発達障害の人に向いている職業とは
まず、発達障害の人に向いているのは、スキルや知識が必要な専門職です。このような職業は、人付き合いが苦手でも、ひとつのことに集中して極める能力が高ければ達成できることが多いからです。また、データ入力や資料整理等、一人で黙々と作業をするような仕事も適職といえるでしょう。いずれにしても、本人の興味のある分野であることが重要です。発達障害の人は、たくさんのことを器用にできない分、興味のあることへの探究心が大幅に優れている場合が多いからです。
発達障害の人に向いていない職業
発達障害の人が避けたほうが良いのは、人との関わりが密接な職業です。例えば、接客業や電話応対などですね。コミュニケーション能力が高くないので、このような仕事は本人にとって耐え難いストレスとなってしまう可能性が高いのです。また、医療系や経理などのミスが許されないような職種も避けたほうが良いでしょう。発達障害の人は、叱られたときやミスをして落ち込んだときに、途端にやる気がなくなって、何も考えることができなくなる傾向があるためです。
本人に適した職業の選び方も選択肢に入れる
発達障害の子どもが将来仕事に就くにあたって、向いている職業と向いていない職業をお伝えしました。ですが、これはあくまでも一般論です。その子の個性や特徴によって、当てはまる部分もあれば当てはまらない部分もあるでしょう。発達障害の人が職業を選ぶときに大切なのは、それぞれに合ったものを見極めることです。それには、本人が自分の特徴を把握することと、周囲が理解と協力をしてあげることが必要となってくるでしょう。本人が興味を持つことができて、個性に合っているものを探してみてくださいね。
おわりに
文部科学省の2012年の調査によれば、普通学級の生徒の中に6・5%、つまり15人に1人の割合で発達障害の可能性を持つ子どもがいるということが分かっています。わが子が発達障害だと気づいたら不安な気持ちはあるでしょうが、周りの理解と本人次第で、将来はきちんと職業に就いて生きていくことが可能となります。そのためにも、親御さんはしっかりと子どもに向き合っていくことが大切です。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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