イクメンという言葉で知られている、育児に積極的なパパたちも「うつ」になってしまう可能性があります。パパたちのうつである「パタニティーブルー」を防ぐために、パパたちを取り巻く環境やいろいろな場面への対策を考えてみませんか。誰にでも起こりうる「うつ」に対して、家族みんなでサポートできるようにしておきたいものです。
パタニティーブルーという言葉は?
エール医学大学院のYale Child Study Centerのカイル・D・プルーエット教授は1987年に発表した論文で、「パタニティー ブルー」という症状について指摘しました。プルーエット氏は、現在でも児童心理や父親になるということに関するさまざまな研究を行っています。
パタニティーブルーは男性版の「産後うつ」
英国では、父親のpostnatal depression(PND)「産後うつ」と表現されています。そして父親の産後うつというものは、子どもが生まれて1年目での発症率が高く、パパの10人に1人という高い割合で落ち込みやイライラなどの症状が見られます。女性の産後うつには、ホルモンのバランスによる影響がありますが、男性の場合は心理的な重圧などが原因となるという違いがあります。
パタニティーブルーの原因と症状は?
子どもが生まれることによって、父親としての責任を感じるようになります。例えば、「子どもを養っていくために働かなければ」というような意識が高くなります。その上、仕事がいくらつらくても子どものために時間をさこうと努力します。そしてパタニティーブルーとして睡眠障害・頭痛・うつ感情など心身に現れる症状が見られるようになります。このような現象は、子どもが生まれた1カ月後から3カ月頃までに起こります。そしてパタニティーブルーの状態は、長いと半年ほど続きます。
ママの産後うつと同様に 周囲の助けが不可欠
パパが産後うつになってしまったようなら、まずは気づいてあげることが必要です。また、できることは「無理をさせない」ことです。女性の産後うつについても、いまだにサポート体制は十分とは言えません。しかし、2017年からやっと産後2週間と1カ月の健診に助成金が出て、早めに気づけるように体制を整えていく方針が厚生労働省によってたてられています。ママやパパの兄弟、家族や友達が協力して、あせらずパパのうつが回復するのを待ってあげてください。
合わせて読みたい
精神面からのアプローチで「うつ」への対策
パタニティーブルーは、子どもが生まれた新生活への疲れや自分への重圧、社会からの厳しい風当たりなど、さまざまな現実に対する感情が絡み合うことが要因となって表れます。そのため、あらかじめ産後に起こりうる事柄はネガティブなことも含めて予測しておき、心の準備をすることも予防につながるのです。
1.話しやすい環境を作れるように努力する
まず身近な家族とコミュニケーションを取って、子育てへの考え方を知っておきましょう。子どもを出産するママは、パパにどう育児に参加してもらいたいのでしょうか?家事や育児をどう分担するのかは、出産前に話し合って決め、出産後の対立を防ぎお互いに納得しておきます。また、悩みを相談しやすい環境を作ることが、うつを未然に防ぐために大切です。
2.職場環境や周りの現状を確認する
平成29年1月1日に施行の「育児・介護休業法」には、パタニティーハラスメントを防止するための法が整備されます。この法律によって事業主には、「マタハラやパタハラを防止するための措置を講じること」が義務化されるので、育休は取りやすくなると考えられます。でも残念ながら、男性が育休を取ることに対する理解がない社会はまだまだ存在します。
子どもが生まれる前に「育休」について検討する時には、数カ月のみでも育休を取った後にどのように職場に復帰できるのか情報を集めておきましょう。また男性の育休が身近な人や家族からの理解が得られるのか確認することで、協力が得られるか知っておくきっかけにもなります。そしてもし落ち込むことがあっても、精神的な動揺を最小限に抑えることができます。
3.ストレスをため込まない方法を知る
ストレスの解消方法は、それぞれ異なると思います。いずれにしても、育児中にはこれまでと同じ方法が使えるとは限りません。ですから、短時間でストレスを発散できる方法を知っておくことが大切です。例えば、仕事や家庭から離れて、ほんのひとときの自分時間を作ることがおすすめです。一人でリセットする時間を持ち、リフレッシュすることで根詰めて育児に専念しすぎることを防ぐことができます。
合わせて読みたい
5歳(年中)、3歳(待機児童)、夫(ちょっと年下)と暮らしてます。在宅ライター主婦
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。