「天才少年が大学を卒業!」というニュースは時々聞きますが、日本では海外のような「飛び級制度」はあまり聞いたことがありません。
実際のところ、日本国内でも飛び級をすることは可能なのでしょうか?
実際に実施されている日本での「飛び入学」について、そして海外の飛び級制度がどのようなものなのかをまとめてみました。
日本での「飛び級制度」について
日本にも実は「飛び級制度」が存在します。しかし、あまり知られていません。それは、日本の飛び級制度が極めて限定的な制度で、利用している人数もあまり多くはないからです。
ここでは、日本国内で可能な飛び級制度について紹介していきます。
日本では大学・大学院へ「飛び入学」が可能
日本では、高校を卒業せずに大学へ、大学を卒業せずに大学院に直接進学する「飛び入学」が認められています。
通常、高校卒業が大学進学の前提とされていますが、優れた知識や才能を持つ生徒に対してはこの制度が適用されます。
ただし、大学への飛び入学には「高等学校に2年以上在学」すること、大学院への飛び入学には「大学に3年以上在学」することが条件の一つとなっていますので、飛び入学と言っても実質的には1学年早くなるだけです。
また、実施している大学は現在10大学のみ。その半数が音楽学部となっています。
大学へ飛び入学する方法と条件は?
大学への「飛び入学」を実現するためには、所属している高等学校の推薦などが必要です。
当然ながら、希望する大学が定めている分野で特に優れた「資質」があることと、前述した通り「高等学校に2年以上在学」することが条件です。
また、高校を卒業せずに大学へ進学するため、万が一大学を中退した場合に最終学歴が中卒になってしまいます。
それを回避するため、大学への飛び入学者については、大学で一定の単位の修得を条件に、高等学校を卒業した人と同等以上の学力があることを文部科学大臣が認定する制度もあります。
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日本に海外のような飛び級制度はない
本来ならば小学生の年齢の子どもが高校へ通ったり、大学を卒業したりするような飛び級制度は、今のところ日本にはありません。
なぜ日本には海外のような飛び級制度が作られないのでしょうか?日本の教育制度と今後についてまとめてみました。
小・中学校の「義務教育」との相性の悪さ
7才から15才までの9年間、小学校と中学校へ通います。子どもは学ぶ権利があり、保護者は子どもに教育を受けさせる義務がある「義務教育」です。私立小学校では独自のカリキュラムを組んでいる場合もありますが、公立の学校では全員に同じ内容の授業を提供します。
どちらかというと賢い子に向けての授業ではなく、全員が取りこぼしなく理解できるように授業を進める「横並び」の考え方が主体となります。
勉強ができる子のための制度はなく、むしろ「出る杭は打たれる」という考え方すらあるのが現状です。
「令和の日本型学校教育」に飛び級制度は?
2021年に「中央教育審議会」の答申として公開された「令和の日本型学校教育」の副題は、「全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現」です。
飛び級制度についての言及はありませんが、「個別最適な学び」という言葉がたくさん使われ、「子どもたちの多様化」に合わせた学びを実現することや、ICTを活用した少人数制の指導体制について言及しています。
海外のような飛び級を伴う「ギフテッド教育」とは違う形で、日本国内でも子どもたちの個性に合わせた義務教育が実現することも期待したいですね。
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元IT系企業勤務。現在はフリーランスのデザイナーである夫の会社でWebサイトの構築、運営やライティングをしています。ゆる受験で私立中高一貫校に通う長女、ガチお受験で私立小学校に通う次女、そして幼稚園に入園する三女の三姉妹のお母さんもしています。
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