保育園に子どもが通っている場合、3歳から「主食持参」だと言われて驚いた経験がある人もいるかもしれませんね。2歳までは給食が出ていたのに、どうして3歳から「主食持参」なのか不思議に思う人も多いでしょう。
この記事では、保育園で3歳から主食持参するのはなぜなのか?というテーマで、詳しく見ていきたいと思います。
3歳からの保育園主食持参はどうしてあるの?
そもそも、2歳までは保育園で給食が出ていたのに、3歳から急に主食持参と言われても「なぜ?」と思ってしまいますよね。その理由としては、国からの補助が大きく関係していると言われています。
保育園の最低基準が主食持参に関係している
保育園では児童福祉法の第45条の規定に従って、「最低基準」が定められています。この最低基準には、保育園の保育士の人員配置や子どもたちへの給食に関する事も細かく決められています。
この児童福祉法で定められている最低基準によると、3歳以上の子どもの主食にかかる費用は、国からは支払われないという事になっているのです。
これによって、保育園側としては、主食費用を園で負担するか親が負担するかを決めなければならない状況になります。そこで結果的に、主食持参という形になっているわけなのです。
主食費用を親や保育園が負担しなければならないから
児童福祉法で国が定めている最低基準により、保育園では様々な費用を細かく設定する必要があり、3歳以上の子どもの主食にかかる費用は親か保育園が負担する事になっています。
保育園側としては、子ども達の大切な食事に関する費用なので、出来れば負担したい所ではありますが、保育園が負担している費用は主食だけではありません。そのため、それぞれの家庭に主食費用は負担してもらうという方法が多く取られているのです。
保育園の主食持参に関しては賛否両論ある
親によっては費用の面だけではなく、共働きなどで毎回おかずに合わせて主食を用意するのが負担になるという声もあがっています。
実は、主食の種類は献立によって変えるようになっており、洋食の場合はパンが推奨されている所が多く、うっかり買い忘れていたという事も起こりやすいのです。
そのため、わざわざ主食のために夜にパンを買いに行かなければならないという人もいて、保育園の主食持参には賛否両論あるのです。
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保育園の主食持参に対する意見や各地の動き
次に、保育園の主食持参に対する意見や各地の動きについても見て行きましょう。主食持参に対しての親側の意見や保育園側の意見、そして保育園独自の試みについてもご紹介します。
保育園の主食持参は全国一律なの?
さてここで疑問に思うのが、保育園の主食持参は全国一律なのかという点ではないでしょうか?児童福祉法で定められており、国の支援がないのなら全国一律なのだと思う人が多いかもしれませんが、実は全国一律ではありません。
2016年に保育団体が全国の保育施設を対象に行った調査によると、「3歳以上児の主食」の対応について、認可保育所のうち43%が「家庭より主食を持参」と回答しています。
そして、39.6%が「主食代を保護者から徴収し提供している」と回答しているのです。このような結果から、主食持参にしている保育園は半分以下という事が分かりますね。
主食持参をやめた保育園もある
賛否両論ある保育園の主食持参ですが、独自に主食費を負担して主食持参をやめた保育園もあります。
例えば、神奈川県厚木市の市立保育園「依知(えち)保育園」では、保護者から月額1,500円を徴収して完全給食へ移行しました。
それまで、持参した冷えた主食を食べていた子どもたちからは、笑顔を増えたと言います。また、親からも安い主食費用で温かいご飯を食べさせることが出来るため、非常に好評のようです。
主食持参廃止には多くの課題がある
「依知(えち)保育園」のように、親から主食費用を徴収して完全給食へ移行したいと考えている保育園は多いですが、課題も多いと言われています。
なぜなら、それぞれの家庭の経済状況が異なり、主食費用を徴収される事に抵抗感を示す親もいるからです。
すべての意見をまとめるためには、まだまだ課題が多い部分でもあり、主食持参を巡っては一気に解決に向かうのは難しいとも言えます。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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