男性版産休はいいことばかりではない?
男性版産休が新設されることは、女性にとって喜ばしいことも多いですが、メリットばかりではありません。なぜなら、取得する側の男性自身も社内での反応が怖いなど、色々な思いが出てくる場合も否めないからです。以下に、デメリットについてもご紹介します。
何のサポートにもならないケースがある
男性版産休という言葉は、裏を返せば「子どもが生まれたらきちんと子育てをする」ことが基本です。女性も産後は辛い体調の回復の手助けになって欲しいため、男性が産休を取ってくれることはすごく嬉しいことだと思っています。
しかし、育休をとっている男性の中には単純に休んでしまう人も多く、結局ただ家に夫がいるだけで子育ての大半は妻が行うことも少なくありません。そうなれば、ただ世話する人間が増えるだけで迷惑に感じるといった場合もあります。
男性側が社内評価を気にして取得しない可能性も
マタハラという言葉があるように、妊娠・出産を理由として職場に居にくい雰囲気や休みを取りにくい環境を作ることは違法です。しかし、女性に対してはそういった配慮ができたとしても、一般的には男性は仕事をして、子育ては女性に任せるべきという意見もまだまだ残っています。
そういった感覚がある職場の場合は、周囲から「穴埋めは?」など嫌な顔をされる可能性もあるのです。男性としても、そういった懸念から積極的に制度利用をしたくないと思う傾向があるので、制度はあっても利用しない男性がほとんどになる可能性もあるでしょう。
男性版産休によって女性が自分のペースを保てない
男性が育児に参加するということは、それだけ口出しも多くなります。教育方針は本来なら、夫婦で事前に話し合っておくべきですが、なかなか時間がとれずに出産を迎えたと言う場合もよくあることです。
その場合、男性版産休を夫にとってもらったとしても、夫婦で意見が合わないことも増え、結局「夫がいない方が気楽だった」とデメリットに感じる人もいます。社会的な流れだけを意識して男性版産休をとるのではなく、夫婦それぞれの意見をしっかりと話し合っておくことが大事です。
おわりに
出産直後から、夫も休むことができる男性版産休ですが、産後すぐに男性がサポートしてくれるのは嬉しい反面、妻にとって負担に感じることも多くあります。そのため、実際休暇をとってもらうかどうかについては、事前にお互いに話し合っておきましょう。それぞれの家庭によって価値観は違うものなので、自分たちにとって良い方向を見出してくださいね。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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