「スクールロイヤー」本格導入の前に考えたいこと
「スクールロイヤー」制度は、2020年度から導入される予定です。300名という人数は、47都道府県を考えると、単純計算で1県あたり6名の配属になります。今後増員されるかどうかはわかりませんが、全国での本格導入の前に、考えておきたいことがあります。
「スクールロイヤー」は誰を守るのか
一般的に、裁判や調停をするときは、それぞれの立場の人に弁護士がつきます。では「スクールロイヤー」は誰を守るのか、という視点が大切になってきます。日本弁護士連合会は、「スクールロイヤー」は「子どもの最善の利益を守る」ものだと述べています。いじめ問題で学校が訴えられた、というような場合でも、「スクールロイヤー」は学校の代弁者として矢面に立つのではない、ということです。子どもにとって一番よい方法を考える手助けをするのが、「スクールロイヤー」の仕事です。学校現場の負担を軽減することはもちろん大切ですが、子どもを守ることが最優先だということをあらためて認識しておくべきでしょう。
「いじめ」は法律で防止できるのか
「いじめはなぜいけないの?」と聞かれたら、どう答えますか。昨今では、「いじめという言葉は軽すぎる。暴行罪、恐喝、器物破損などの犯罪であると認識させるべき」という意見もあります。確かに、いじめは重大な人権侵害であり、被害者にとっては形ばかりの謝罪ですまされるようなものではありません。しかし、「いじめは犯罪だからダメ」という言い方は、本質を伝えているでしょうか。単純に「スクールロイヤー」が抑止力になるという考え方は、ある意味教育の放棄ともいえます。なぜいじめはいけないのか、子どもたちにきちんと伝えられるよう、大人も考え続けていく必要があります。
おわりに
大阪府は「スクールロイヤー」を「チーム学校」の一員と位置づけています。学校を取り巻く問題に対処するには、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーなど、さまざまな専門家の協力が必要です。「スクールロイヤー」制度をどのように運用していくのか、学校や地域、保護者を含めて議論を深めていきたいですね。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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