「算数」というと苦手意識の強い子どもは多いはずです。できれば小さいうちから「算数が得意な子」になってほしいと親としては願います。そこで、近年、数多くの企業創設者を排出し、世界の大手企業における社員の多くが「インド人」という事実から、今回はインド人が特に「なぜ算数が得意なのか」その理由について調べてみました。
「インド」という国の文化とは?
食について、宗教について、それぞれの国に違った文化が存在します。日本においての義務教育は小学校6年間と中学校3年間の合わせて「9年間」ですが、その義務教育ひとつとっても国によってのスタンダードは異なるのです。教育の体制を含め、まずは日本とインドの「文化の違い」から見ていこうと思います。
インドの教育体制と「算数」との関係
インドの義務教育は6歳~14歳までの「8年間」と、意外なことに日本より1年短いのです。ですが、古代インドで天文学の発展、数学の発展があり「ゼロの概念」もインドで定義されたことなどから、インドでは政府によって伝統的に「理数系」に力を入れられてきました。また、答えが合っていることを重視するのではなく、どんな原理、計算法則が使われているかを考えさせる、「答えが導き出されるプロセス」を重視した教育のあり方が「論理的思考」を育ててきたと考えられています。
九九だけにとどまらない!「2桁九九」
日本では小学校2年生になると「難関」とされる九九を覚え始めます。皆さんご存じの通り9×9までを暗記するわけですが、インドではこの時点で違うのです!基本としては20×20までを暗記し、地域や学校によっては99×99までの暗記をさせる所もあります。そこまで覚える必要があるのか?と少し疑問さえ感じますが、この暗記と暗算を繰り返すことこそが「算数脳」を磨くことの基盤となるわけです。ちなみに、1年生までに1~4の段を覚えるのが目安とされています。
「答えを出す方法」をたくさん持っている
2桁や3桁の掛け算をしなさいと言われた場合、日本の小学生の多くが「筆算」を始めます。テストによっては答えを出した経緯を書く必要があるので、筆算をしないといけない場合も多いのですが、インドではそうではありません。学校だけではなく、親や祖父母からたくさんの計算方法を聞き、その問題の計算に「一番良い計算方法」と「暗算」を活用して「自分が一番やりやすい方法」で問題を解くのです。自分で選んだ方法で答えを出せたとき、この「面白さ」に気づくと算数が得意になるわけです。
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ポイントは「家庭での大人の働きかけ」
「お見合い結婚」が主流のインドでは、今もなお「階級」と「学歴」が重視されています。そのため、中流階級の家庭では日本の比にならないほど教育熱心な家庭が多く存在しています。私たちが日頃、家庭で子どもと接するとき、会話の中で「算数」を盛り込むことなど意識することはあるでしょうか?インドの家庭ならではの「マネしたい子どもへの声かけ」があります。
料理を取り分けるときにも「分数」
インドの食卓でのひとコマですが「この料理を取り分けるのに4人分にする場合、何ていうでしょう?」と、母親が子どもにまるで「クイズ」のように質問を投げかけます。「4分の1!!」と競って子どもは答えます。こんな風に算数が自然と出てくる環境であるということは、子どもにとってとても良い刺激になりますし、より自然に理解を深めることができます。
大好きな競技の観戦中にも「引き算」
次は、大好きなクリケットの試合を観戦しているときの会話です。「負けている方のチームはあと何点取れば勝てる?」と、父親が息子に質問します。これも、元々関心のあるものと絡めて上手に問題を出されています。ここで大事なのは「ゲーム感覚」ということです。日頃から口うるさく「勉強しなさい!」「宿題はやったの?」というより、日常生活や子どもの関心のあるものと関連性を持たせて考える機会を増やすことの方が、自分で進んで勉強する子を育むのではないでしょうか。
家族を大切にするのがインドの常識
とはいえ、会話の端々に算数を出されてよく思わない子どももいるのかもしれません。インドでは親とは同居で大家族が基本になります。兄弟で大きな家を持ち、親の介護も皆で喜んでするのが普通で、老人ホームなどは何か理由の無い限り利用しないのが一般的とされています。家族で時間を共にすることが多いので、こうして算数の話題を出しても煩わしくない関係が築けているのかもしれません。日本の家庭も見習いたい所です。
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コーヒーとチョコレート依存の2児(長男3歳半、長女3ヶ月)の母です。ガンダムの面白さを最近知りました。
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