いい子症候群のまま大人になるとどうなるのか
幼少期の親との関わり方は、子どもが大人になっても非常に影響力があります。心の奥で自分でも知らないうちにトラウマになっていることはよくある話ですし、幼少期の経験が対人関係に影響することは多いとされています。いい子症候群の子どもが大人になると、どのようになるのでしょうか?
親から自立できない大人になりやすい
いい子症候群の子どもは、大人になっても親の言うことを気にして、自分の意見がありません。常に親の顔色をみて、親がGOサインを出さないと何も踏み出せない子が多いと言われています。その状態がずっと続いていると、いい子症候群の人は親元から自立することができず、そのまま実家住まいを続け、結婚も遅い時期にする人が多いです。自立心が育たないのは、いい子症候群の大きな特徴だといえるでしょう。
感情のコントロールが効かなくなる
ずっと親に押さえつけられていた感情は発散する矛先を見失い、子どもの心の中に押さえ込んでしまっているものです。子どものうちは親の監視下にあるので、あまり爆発はしません。しかし大人になると、今までの鬱屈した気持ちが爆発したように、ちょっとしたことでキレてしまったり、他人を傷つけるような行動を起こしてしまうこともあります。他人に対して自分の感情をうまく伝えることができず、単純にイライラして相手に暴力という形でぶつけることもめずらしくありません。
コミュニケーション力が著しく低下する
いい子症候群の場合、人の顔色の変化に敏感で、少しでも違和感のあることがあれば「嫌われてしまった」「自分が悪いことをした」と思い込んで、気を遣ってしまいます。もちろん他者への配慮は必要なことですが、いい子症候群の場合は過度にコミュニケーション能力が低下してしまい、人との関わりに障害が起きる可能性があるのです。人に嫌われたくないという気持ちが先走りしてしまい、本当の自分がどこにいるのかわからずに、ストレスを感じてしまうことも少なくありません。
おわりに
子どもは親の笑顔が大好きです。怒られると悲しくなりますし、自分が求めても拒否されては傷つきます。しかし自分たちが育てやすい子にするのではなく、子ども本人の意思や気持ちを尊重して、どんなことでも受け入れ愛する気持ちの余裕を持つことが大人には必要です。親子の関係はずっと続くものなので、子どもには純粋な愛情を持って接してくださいね。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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