子どもが家事や介護を支えるヤングケアラーの存在

ヤングケアラー
子どもは、遊んだり勉強したりすることが主な仕事だと多くの人が考えていることでしょう。しかし最近では、親をはじめとする家族の介護や家事をしながら学校に行かなければならない、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちが注目されるようになってきています。ここでは、ヤングケアラーの現状や抱える悩み、彼らを支援する試みなどについて、ご紹介します。

増加しているヤングケアラーとはどういう存在?

家事をする高校生
ヤングケアラーとは、学校や仕事に行きながら親などの家族の介護や家事を担う子どもたちのことを言います。もちろん、親が介護状態になったら、子どもを含めたサポートが必要になるときもあるでしょう。しかし、ヤングケアラーは子ども自身が中心となって、大人と同様にケアをしていることがほとんどです。

年齢は18歳未満の子どもたちが対象となる

2017年に毎日新聞社が分析したデータによると、ヤングケアラーは15歳~19歳の間で3万7100人が存在することが分かっています。一般的にヤングケアラーとする年齢は18歳未満とされていますが、15歳以下の中学生や小学生、小学生以下の子どもたちまで含めると、より多くの人数が該当するだろうことが予測されます。

また驚くことに、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2019年に調査した結果によると、6歳以下の子どもの1.3%がヤングケアラーになっていることが判明しているのです。自分のこともまだ満足にできない6歳以下の子どもが家事や介護をしているという現実は、とても複雑ですね。

ヤングケアラーの図表

病気などの親に代わり、家事や介護などを担う

ヤングケアラーは、病気などで介護が必要となった親などに対してケアを行う必要があります。しかし家事や介護のみを行うわけではありません。家庭に幼い子どもが他にもいる場合は、お兄ちゃんやお姉ちゃんが彼らの面倒をみる親代わりとなることもあります。さらに働くことのできる年齢の子どもの場合は、アルバイトなどで家計を支えているケースもあるのです。

家事や介護と学業を両立しなければならない

ヤングケアラーの大変な部分は、家事や介護のみに専念できる状態にはないことです。ヤングケアラーのほとんどは、学業や仕事という本業がありながら、週に4日以上のケアを担っています。そのためどちらもおろそかにできず、自分自身の生活にさまざまな影響を及ぼしてしまうことも少なくありません。

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ヤングケアラーが直面する複雑な悩みとは

疲れた高校生
ヤングケアラーは同年代がまだ経験しないであろう、親などの介護や家事を行っています。その周囲とは違う環境に対してや自分自身の生活に対して、不安や葛藤を抱えることもめずらしくありません。ヤングケアラーは、同じ年ごろの子どもにはない悩みを背負っていることが多いのです。

自分しか親の面倒を見る人がいない

ヤングケアラーの育つ家庭は、ひとり親世帯や夫婦と子どものみの世帯が特に多いとされています。そのため、必然的に子ども自身が中心となって面倒を見なくてはならない割合が高くなります。そうなると誰かに頼ることができない状態になる傾向が強く、さまざまな問題に直面しても一人で解決しなければなりません。子どものみが家事や介護に責任を持つことにより、自然と負担も大きくなってしまうのです。

同世代の友人には気持ちを分かってもらいにくい

ヤングケアラーには家庭での家事や介護の他に、学校や職場での生活があります。そこには同世代の友人もおり、ささいな会話をしながら楽しい時間を過ごしたいという気持ちがあることでしょう。しかし同世代の友人は、親などの家事や介護を中心的に担うという経験をしている人がまだ少ない状態です。つまり、友人との立場の違いに差があれば、家事や介護のつらさなどを打ち明けても、共感してくれたり、アドバイスをしてくれたりする人がほぼいないことになります。このような環境だからこそ、よりヤングケアラーが孤立してしまいやすいのです。

子ども自身の発達に影響することも

子どもは年齢相応な環境や体験をすることで、健全な発達をしていくと言われています。しかし、ヤングケアラーは一般的には大人が行う家事や介護に責任を持たなければなりませんので、子どもらしい経験をする機会が少なくなるのです。例えば、友達と一緒に遊ぶ時間が持てないことで罪悪感やゆううつな気持ちがつきまとい、うつ状態に陥ることもあるでしょう。また睡眠不足や疲れから勉強をする時間が取れずに、学習面に支障が出ることもあります。

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