いじめ探偵が私たちに伝えてくれること
いじめ探偵と呼ばれる存在があることに、多くの方は驚いたのではないでしょうか。学校で起きたいじめの問題は、教師や教育委員会、行政が動くのが当たり前だという認識は、もはや改めなくてはならないようです。いじめ探偵が人気の世の中は、子どもにとっても大人にとっても生きづらい社会です。
子どものいじめは大人の責任
いじめのきっかけは、ほんのささいな出来事だったという事案が少なくありません。昨日までの仲良しグループが、急にひとりをはじき出していじめのターゲットにするといった、ゲームのような暴力が実際にあるのです。現代社会ではSNSを利用した悪質ないじめが増え、大人には構造が見えにくくなっています。しかし、いじめは子ども社会だけの問題でしょうか。身の回りの、自分と違う考え方、感じ方、慣習を持った人々を排除しがちな不寛容な社会を作っているのは、大人の方なのでは?いじめ探偵の報道があった後、阿部さんのもとには多くの嫌がらせや誹謗(ひぼう)中傷があったといいます。いじめ探偵に助けを求める子どもの多くは、先生や周囲の大人に助けを求めても、なにもしてもらえなかったという子どもたちです。いじめ探偵が人気である社会は、本来あってはならない社会の姿です。
いじめ調査でさらに傷つく子どもたちがいる
いじめ問題を解決に導くためには、早期発見・早期対処が一番大切なことです。早ければ早いほど、被害は少なくてすみますし、子どもの心の回復も見込めます。いじめ探偵による調査は、しっかりした証拠集めがなされ、信頼に足るものですが、その過程で少なからず子どもたちは傷つきます。これはいわゆる二次被害といえるもので、過去のいじめの記憶を呼び覚ますうちに、さらに深く心が傷ついてしまうのです。いじめは、子どもの心に大きな傷を残す卑劣な行為です。「いじめ探偵がいるなら安心だ」ということではなく、被害者でも加害者でもない、傍観者の立場にいる人がなにをすべきなのか、子どもたちを守るということはどのようなことなのか、ひとりひとりが考えていかなくてはなりません。
おわりに
いじめ探偵が人気である社会は、けして健全なものとはいえません。しかし、世の中にはこうして味方になってくれる大人がいるのだとわかれば、子どもたちも少しは救われるかもしれません。子どもは、いじめにあっていることを親に隠す傾向があります。「意地悪をされた」「いじめられた」と口にしたときは、穏やかに真剣に話を聞いてあげてください。
そして、万一のときには、専門家の助けを借りることも視野にいれておきましょう。
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