「こども六法」という書籍が話題です。ゆるかわいい動物たちが大きな木の下に集まっている、明るい色のイラストが表紙になっています。子どもが自分で読めるように、法律についてやさしく解説した本で、大人にもぜひ読んでいただきたい内容が書かれています。いじめや虐待から自分を守る術を教えてくれる「こども六法」についてご紹介します。
「こども六法」は子どものための法律解説書
「こども六法」は、弘文堂から出版されたちょっと厚めのソフトカバーの単行本です。著者は山崎聡一郎さん。表紙には、明るい色調でゆるかわいい動物たちが木の下に集まっていて、まるで子どものための絵本のような印象です。
子どもが必要とする法律をピックアップ
「六法全書」という分厚い法律書をご存じでしょうか。「六法全書」は、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の六法と関連した法律を集めた本です。対して「こども六法」は、刑法、刑事訴訟法、少年法、民法、民事訴訟法、日本国憲法、いじめ防止対策推進法についてやさしく解説しています。全部で7法ですね。特に、少年法といじめ防止対策推進法は、子どもたちに深い関係がある法律です。「こども六法」は、子どものための法律解説書ですが、子どもだけではなく、先生や保護者をはじめ、子どもに関わるすべての大人に読んでほしい本です。
巻末にはいじめから脱出する方法を掲載
本文は横書きで、すべての感じにふりがながふってあるので、ひらがなが読める人は誰でも読むことができます。法律ごとに章がわけられ、まずは各法律がなんのための法律なのかを簡単に説明しています。それから、各法律のなかでも子どもに関係する条文をとりあげ、伊藤ハムスターさん作画のイラストと、法律用語を子ども向けにやさしくかみくだいた文章が掲載されています。法律用語は分かりにくいので、大人が読んでも勉強になる文章です。巻末には、「いじめでなやんでいるきみに」と題して、具体的に何をすればいいかというメッセージが添えられています。
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「こども六法」が出版された経緯
「こども六法」の初版発行は、2019年の8月30日です。それが、1カ月もたたないうちに4回も増刷されました。多くの人が「こども六法」に興味を持ち、手に取っています。逆に言えば、それだけ、現代の子どもたちが助けを必要としているということでしょう。「こども六法」は、筆者の強い想いと多くの大人の賛同から生まれた書籍です。
いじめ被害者だった法教育研究者が執筆
「こども六法」の筆者である山崎聡一郎さんは、教育研究者であり、写真家であり、俳優で社長、という多才な方です。「こども六法」の制作は、山崎さん自身がいじめの被害にあっていた経験がきっかけになっています。小学生のころ、同級生に毎日殴るけるの暴力を受け、最終的には手首を骨折。それでも、「仲直りしなさい」という教師の圧力を前に、相手を許さざるを得なかったそうです。悔しい想いを抱えたまま中学生になった山崎さんは、偶然図書館で六法全書を開き、刑法を目にします。当時自分が自分の権利を守る法律の存在を知っていれば、身を守れたかもしれないという想いが、「こども六法」執筆の原動力だったのだそうです。
クラウドファンディングで資金を調達
「こども六法」は、山崎さんが大学3年生のとき、研究助成金を受けて作成した法律教育の副教材でした。しかし、助成金で刷ることができたのは、400部。子どもたちの手に届けるにはまったく部数が足りません。そこで、山崎さんは「こども六法」を全国の学校図書館に置いてもらえる一般書籍として出版するため、クラウドファンディングで資金を調達しました。ただ刷るだけではなく、内容をよりよいものにするための資金調達です。当初の目標だった100万円を突破し、最終的には180万円ほどの資金を得て、「こども六法」は完成しました。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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