学校欠席旅行が子どもに与える影響
親の考えとは別に、実際に旅行に連れて行かれる子どもはどう感じているのでしょうか。先の調査によれば、学校を休んで旅行に行くことを告げたとき、喜んだのは約6割の子どもたちでした。残り4割のうち、2割は不安、2割は無関心な態度を示したという結果が出ています。
親の信念が子どもを支える力になる
学校を休んで旅行に行くことを、先生や友達に隠さなければならないと、子どもには相当ストレスがかかります。普段「うそをついてはいけません」といわれているのに、「うそをつきなさい」という矛盾したことをいわれるので、混乱し、傷つく子もいます。子どものためにも正直に伝えてほしいのですが、それによって「ズル休みだ」という友達も出てくるかもしれません。その際、子どもを守るためには、親のしっかりした信念が大事です。学校を休んで旅行に行くことは、お父さんやお母さんが家族のために考えたことであり、よい選択なのだという安心感を与える必要があります。後ろめたさや不安を抱いたままの旅行は、よい影響をもたらしません。
「ルールを守る」ことの本質を考えるきっかけに
子どもは、生活のさまざまなことについて決定権を持ちません。基本的には親の決定に従って生活しています。旅行に行くと告げても無関心だった2割は、普段から親の決めたことには黙って従う習慣がついていたのかもしれません。「学校へ行く」というのは、小学生にとっては基本的なルールといえます。しかし、そのルールを守るのはなぜなのか、考えている子はどのくらいいるでしょうか。ルールを守る意味がわかっていなければ、「絶対に行かなくてはいけない」という強迫観念か、「言われたから仕方なく」という盲目的服従、もしくは意味のない反抗心に支配されてしまいます。将来、自分のことを自分で決められる大人になるためにも、「ルールを守る」ことの本質を考えるきっかけになることを期待します。
おわりに
学校を休んで家族旅行をすることに対する心理的なハードルは、だんだん下がってきているようです。価値観の多様化や、社会が求める人間像の変化にともなって意識が変わってきたのだと考えられます。大人の社会で、自分のために休むときは休み、家族の時間を大切にするという価値観が当たり前になれば、賛成派反対派の割合は、この先また変わってくるかもしれません。
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