子どもの将来のためにも、小学校段階から子どもの学力は気になるところ。学力を上げるために試行錯誤している家庭も多いかと思います。そのため学校での勉強を家庭でも取り組むことで学力を上げようという試みが一般的かと思いますが、別の視点からのアプローチも最近注目されています。それがメタ認知力の向上です。ここでは、メタ認知能力とは一体どんな力なのかについて解説します。
メタ認知能力とはどういうもの?
メタ認知能力とは、日本語で言うと「自己認知能力」というものにあたります。つまり自分の行動や思考を客観的に捉える力のことです。この力は大人・子ども関係なく、社会で生きていくには必要な力だと言われています。これを子どもの頃からしっかり育てることで、学力も向上していくという考え方が存在しているのです。
メタ認知能力の重要性について
メタ認知能力がしっかりついている人というのは、自分のことを客観的に捉えられる場合が多いと言われています。このメリットは正確に長所と短所を知ることで、自分の成長を自分自身で促していくことができる点です。これを学習面に置き換えて考えてみると自分に合った勉強方法を自分で模索して習得するようになるため、大人になってからも非常に役に立ちます。自分を客観視できる力は必要以上にポジティブになったりネガティブになったりすることなく、自分のメンタルをコントロールすることにもつながっていくからです。
メタ認知力が高い子どもは学力も高い
ベネッセコーポレーションによってメタ認知能力と学力の関係についての調査が行われました。この結果を見るとメタ認知能力が高い子どもは日ごろの勉強の取り組み方だけではなく、思考力や成績にも影響しているというデータが示されています。またメタ認知力は小学校高学年頃から急激に発達することがわかっているため、この時期にしっかりメタ認知能力を鍛えることで将来的な学力の向上にもつながって行くと言えるでしょう。
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子どものメタ認知力を高めるには
子どものメタ認知能力を高めるために、親ができることにはどんなことがあるのでしょうか?実は以下のような日ごろの言葉かけ一つで、子どものメタ認知能力の向上が期待できることがわかってきています。
子どもを褒める時は具体的に!
子どもが良い行動をして褒める時に、皆さんはどのように褒めていますか?「いいね!」「すごいね!」という前向きな言葉かけは、子どもの気持ちの安定につながります。しかしこの褒める言葉をさらに具体的にすることで、メタ認知能力の向上が促されるとされています。
例えば子どもが道端のゴミを拾った時に、「あなたがゴミを拾ってくれたから、この道を通る人はみんな気持ちが良くなるよ」と声掛けをすると、なぜその行動が良い行動なのかをきちんと理解することができるようになるのです。これを繰り返すことで、子どもは自分の行動の意味をきちんと理解できるようになります。
子どもにプロセスを考えさせることが大切
例えば子どものテストの結果が良い点数だった時も悪い点数だった時も、どうしてそうなったのかというプロセスを考えさせるようにします。そうすると子どもが良い点数を取ったときにはどのように行動していたか、悪い点数を取った時はどうだったかを、客観的に捉えることができるようになるわけです。これがわかるようになれば、良い点数を取るためのプロセスを自分で選択することが可能になります。
子どもに成功体験を積み重ねさせる
せっかく子どもにプロセスを考えさせても、考えたことによって良い成果が得られなければしだいにやる気を失ってしまいます。根気よく成果を積み重ねる途中で、投げ出してしまったら勿体ないですよね。そのためまだ小学校の段階では親の力が大きく必要になります。例えば、親も一緒にプロセスを考えて、子どもの意見を取り入れつつさまざまな提案をすることが重要です。この時注意したいのは、ああしろこうしろと口うるさく言わないようにし、あくまでも選択は子どもがするようにサポートしましょう。そして子どもの選択によって良い結果が得られた時は、たくさん褒めてあげてください。これらの繰り返しで、子どもは「プロセスを考える」ということ自体の良さをわかっていくのです。
「コーチング」はメタ認知能力を育てるのに有効
メタ認知能力を育てるためには、コーチングが有効だとされています。コーチングとは、促進的・指導的アプローチのことで、相手の自己成長を促すために手助けする理論や方法のことです。言うならば、子どもを親の力で成長させるのではなく、子どもが本来持っている力を引き出す手伝いをして子どもの成長を促す役割のものだと思ってください。コーチングに関してはさまざまな書籍が販売されていますので、ぜひこれを機会に1冊手に取ってみることをおすすめします。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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