子育てをしていると、一番悩むのが叱り方かもしれません。ダメだなとわかっていても、つい子どもに対して「コラッ!」と怒鳴る叱り方をしている人も多いことでしょう。子どもの叱り方の本もありますが、なかなか実践できないのが現実です。ここでは、子どもに響く叱り方についてお伝えします。
子どもの叱り方について本は役に立つ?
初めての子育ての場合、何が正解なのか間違いなのか、右も左も分からない状態で物事が進みます。そんな時に、多くの人が「子育ての本」を頼るものです。しかし叱り方はいろいろとあるでしょうし、子どもの性格によっても全然受け取り方が違います。そのため実際に子育ての本は、子どもの叱り方について役に立つのか立たないのかという不安を持つ場合もあることでしょう。
心を静めるためには役に立つ
子育ての本は、多くの知識やポイントが詰め込まれています。子どもの気持ちを尊重し、子どもの話をよく聞いて冷静になろうと書かれていますが、正直に言うと難しいと思ってください。子どもと真剣に向き合っている親だからこそなかなか冷静になれませんし、イライラもしてしまいます。
だからといって子育ての本通りにいかない自分を責めることはありません。子育ての本の存在は、ある種の辞書を手に入れたような気持ちで「こういうときはどうしたらよかったんだろう?」といった場合の答え合わせのように捉えてください。そうすることで、心を沈め、改めて子育てに向き合おうとする気持ちの切り替えに役立ちます。
実際は本の通りには行かないことが多い
子育ての本のようになんでも笑顔で受け止められるママ、手作りを頑張れるママ、叱り方が優しいママなど、夢に描いたママ像を実現できる人はほんの一握りです。子どもの叱り方として、怒鳴り散らせばいいというわけではありませんが、優しく言うだけではどうにもならないことだってあります。子育ての本には理想やアドバイスがたくさん書かれているため、それらに沿わない自分に嫌悪感を抱くこともあるかもしれません。
しかし、現実のママは本に書かれているような人ばかりではないので、自分を「ダメな親だ」と卑下することはないのです。すべては実行できなかったとしても、本に書かれているピンポイント部分だけでも参考にしてみたらいいと言えます。子育ての本と聞くと、きちんとしなくちゃ!と思いますが、軽い気持ちで読んでOKです。
少し余裕のある時は試してみてもいい
子育ての本に書かれていることは、例えば共働きやシングルマザーの場合に「わかっているけどできないこと」ばかりかもしれません。書いていることは理解できるし、やれたらいいけれど、難しいと思う人も多いのです。
もし、自分を責めてしまうようであれば子育ての本は最初から見ないほうがいいかもしれません。大切なことは「試してみようかな」という感情です。日頃は難しくても、少し心に余裕が出た時に「本に書いていたことをやってみよう」と思い、試すだけでもずいぶんと違います。実践してみるとみえてくることもあるので、役に立つこともあるでしょう。
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年齢別の子どもの叱り方について
子どもの叱り方については、年齢によっても異なります。小さな子どもを叱るように中学生を叱っても響かないでしょうし、逆もしかりです。そのため子どもの性格にもよりますが、年齢によって叱り方も変化させましょう。以下に、理解しておきたい年齢別の子どもの叱り方をお伝えするので、参考にしてみてください。
3歳頃の子どもに対する叱り方
子どもは、3歳までにある程度の人格が形成されるとよく言われています。それまでは親も優しく接していたかもしれませんが、2~3歳頃には魔のイヤイヤ期がやってくるので、毎日優しくもしていられません。何を言っても二言目には「イヤ」と返ってくることが多くなるので、こちらもイライラしてしまうものですが、頭ごなしに怒らずにとにかく一度何がダメなのかを端的に伝えてください。
また長い言葉はまだ理解するのが難しいため、「こういうことをしたらこうなる」ということだけを話してみましょう。イヤイヤ期は本人も何がイヤなのかよく分かっていないことも多いので、ある意味では根気比べだと思ってくださいね。
小学生の子どもに対する叱り方
小学生になると、ずいぶんと良いこと・悪いことの分別がつくようになります。こちらから「こうだから悪い」と言わなくても、本当は何が悪いことなのか分かっています。子どもなのでつい好奇心でしてしまうことも多く、その場合は叱らなくてはいけない状況になるものです。そこで怒鳴ったり、一方的に言って終了するような叱り方をすると、子どもはどんどん反抗してしまいます。小学生になるときちんと自分で何が悪かったのか、改善するにはどうするべきか?を考える力があるので、その時間を与えてください。例えば、良くないことだと伝えたあとに、なぜ悪かったのかについて1人でしっかり考える時間を作らせ、その後は一緒に改善についての話し合いをしましょう。
時間はある程度かかるかもしれませんが、小学生になったら親に言われなくても気持ちが自立してくる時期なので、まずは子ども自身の時間を取ってあげることも重要です。
中学生の子どもに対する叱り方
中学生はいわゆる思春期と呼ばれる時期に突入し、大人に対しての反抗心と憧れ心の狭間で揺れ動きます。3歳頃に起きるイヤイヤ期よりはるかに大きな反抗期が訪れるので、親としては非常に体力を使う年代です。
叱るときも今までのように親の言うことを聞きなさいという時期は過ぎ、1人の人間として大人と同じような話し合いをすることが望ましいといえます。まだまだ全責任はとれないでしょうが、中学生になれば自分が行ったことへの責任感はもたせなくてはいけません。つまり叱るときも結果だけを見るのではなく、「なぜそうなったのか?」をしっかりと話し合う姿勢が必要です。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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