義務教育である小学校でも不登校の児童が増えています。文字の読み書きや、基本的な計算能力など、生きる力を養う場所である小学校。毎日行かなくても、卒業できるのかどうか不安になる親も多いでしょう。小学校の不登校について、気になるポイントを解説します。
小学校は不登校でも卒業できる!
結論から申し上げますと、小学校は不登校でも進級・卒業できます。「欠席が多いと進級できないのではないか」「小学校を卒業できないと中学へいけないのではないか」と悩む必要はありません。逆に、登校を無理強いして子どもを追い詰めることがないよう、注意が必要です。子どもが「学校へ行きたくない」と言い出したら、じっくり話を聞いてあげてください。
進級・卒業認定は学校長権限
小学校の進級・卒業認定は、校長先生の判断にゆだねられています。法律上、進級や卒業に関して、出席日数の規定はありません。極端な話、一度も小学校へ行かなくても、校長先生がOKを出してくれれば、卒業認定を受けることができるのです。小学校でも「原級留め置き制度」(いわゆる留年)はありますが、本人の意思に反して適用されることはありません。「学校に来ないと進級・卒業できない」「出席日数が足りない」と言われたら、教育委員会や地域のNPOが主催する教育相談の窓口などに相談してみるとよいでしょう。
卒業への配慮もある
各学年課程の修了は、出席日数とは関係なく、子どもの学びと成長を評価して認定されます。小学校の卒業が認められたら、校長先生が卒業証書を授与してくれます。どうしても登校できない子のために親が学校へ取りに行ったという方もいますし、学校側の配慮で、ひとりだけの卒業式をしてくれたという方もいます。小学校を卒業したら、次は中学校への進学です。小学校の不登校が原因で進学できない、ということはありません。小学校同様、中学校も在籍している限り、進級・卒業できます。ただ、その後の進路を考えたとき、学校以外の学びの場について検討する必要が出てくるでしょう。
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不登校の原因
平成28年度の調査によると、小学校の不登校児の数は3万人を超えています。学年があがるほど人数は多く、どの学年でも前年度より増加しています。「不登校」については文部科学省が明確に定義しており、何らかの理由で年間30日以上の欠席がある子どもを不登校だと判断しています。この場合、病気やケガ、家庭の経済状況による理由は除外されます。同省の調査によって、不登校の主な原因が明らかになりました。
友人関係のトラブル
不登校と言えば、まっさきに「いじめ」を疑いますが、実際は「いじめ」以外の友人関係のトラブルが原因になっていることも多いのです。大人から見ればささいなできごとも、思春期の子どもにとっては大きな悩みの種になります。高学年になると、SNS上のトラブルも起こりがちです。「大人には言いたくない」「わかってもらえない」という気持ちから、周囲に相談することができない子どももいます。
学業の不振
学校活動の中心は、授業です。学校の勉強がわからないと、一日のほとんどを退屈に過ごすことになりかねません。学業不振の背景には、学習障害(LD)が隠れていることも多々あります。特に低学年では、自分の状態をうまく説明できません。そのため、「勉強ができない」「努力していない」と叱られて、学校が嫌になってしまうケースがあります。
家庭の状況
子どもにとって、家は安らぎの場です。その場所が、両親の不和、虐待などで不安定であれば、安心して過ごすことができません。子どもは次第に無気力になり、学校へ行く意欲も低下してしまいます。不登校は、子どもだけの問題とは言えないのです。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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