育児休業を考えているものの、その間の金銭面での不安から、なかなか踏み切れないという方もいらっしゃるかもしれません。確かに、育児休業の間は、企業から給与をもらうことができません。ですが、きちんとした手続きを踏めば、育児休業中に「育児休業給付金」が支給されることはご存じでしょうか。
ここでは、「育児休業給付金」の計算方法や、その条件についてご紹介していきたいと思います。育児休業をお考えの方は、ぜひ参考になさってみてください。
育児休業給付金の概要と給付条件
育児休業給付金とは、両親が育児へ専念することをサポートするために支給される給付金で、雇用保険制度の一つです。通常、この給付金は、子供が1歳の誕生日を迎える前々日まで(条件により最長2歳まで)もらうことができます。この給付金をもらうためには、公共職業安定所に申請を提出するほかに、いくつかの条件をクリアしていなければなりません。
条件1「育児休業に入る前の就業期間」
育児休業給付金をもらうためには、育児休業に入る前の2年間の間に、11日以上働いた月が通算12カ月以上あることが条件となります。通算ですから、9カ月働いてから転職し、次の職場で3カ月働いたという場合でも、条件はクリアしています。
ただし、転職した際、基本手当(失業給付)の申請を行っていた場合は、気をつけなくてはなりません。基本手当の受給資格を得てしまうと、資格を得た以降に働いた期間しかカウントされなくなってしまうからです。待機期間中に就職が決まり、基本手当を1銭も受け取っていなかったとしても、前職での働いていた期間はカウントされなくなってしまうため、人によっては育児休業給付金の対象外になってしまう可能性があります。
条件2「休業中の給与」
育児休業期間中に、1カ月につき8割以上の給与を受け取っている場合、支給の対象外となります。
条件3「休業日数」
あまりないとは思いますが、休業日数が1カ月につき20日未満の場合は、支給の対象外となります。ただし、休業がおわる月の場合、1日でも休業している日があれば支給の対象となります。育児休業後に退職予定の方や自営業などで雇用保険に加入していない方は、支給を受けることができないため、注意が必要です。
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給付金の額と計算方法
育児休業給付金は、2014年から制度が新たになりました。
最初の180日間は、【「賃金日額」×「支給日数」×67%】
それ以降の期間については、【「賃金日額」×「支給日数」×50%】の額が給付されます。
※賃金日額とは、休業に入る前の6カ月間の給与(総支給額)を合計し、180で割ったものです。
では、産後休業からそのまま子供が1歳になるまでの育児休業に入った場合、給付金はどのように計算されるのでしょうか。注意点といくつか例をみてみましょう。
上限額、下限額がある
育児休業給付金には上限額、下限額があります。この金額は毎年8月1日に変更されるので最新のものを確認するようにしましょう。
賃金月額の上限額 44万7300円 | |
支給上限額(67%) | 29万9691 円 |
支給上限額(50%) | 22万3650 円 |
賃金月額の下限額 7万4100円 | |
支給下限額(67%) | 4万9647 円 |
支給下限額(50%) | 3万7050円 |
2018年4月現在
パターン1
【例】月給が30万円だった場合
- 賃金日額の求め方…30万×6カ月÷180=1万円
- 最初の6カ月の給付額…賃金日額(1万)×支給日数(30日)×67%=20万1000円
- 6カ月以降の給付額…賃金日額(1万)×支給日数(30日)×50%=15万円
産後休業は、ほとんどの場合8週間とらなければならないため、育児休業給付金の支給期間は10カ月になることに注意してください。
パターン2
【例】月給が48万円だった場合
- 賃金日額の求め方…48万(月給)×6カ月÷180=1万6000円
- 最初の6カ月の給付額…賃金日額(1万6000円)×支給日数(30日)×67%=32万1600円(※1)
- 6カ月以降の給付額…賃金日額(1万6000円)×支給日数(30日)×50%=24万円(※2)
(※1)2018年4月現在の支給上限額(はじめの6カ月間)は29万9691円なので、この上限額までしか支給されません。
(※2)2018年4月現在の支給上限額(6カ月以降)は22万3650円なので、この上限額までしか支給されません。
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29歳。A型。既婚。
2014年に入籍、現在は共働きの妻と共に妊活中。夫婦で一緒に取り組む「妊活」を広めるため、男性に知っておいてほしい妊活をはじめとした妊娠・出産に関する記事の執筆を主に担当。
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