全ての親にとってわが子は、この世で一番かわいく大切な存在です。命に代えてでも守らなければならないと頭では当然わかっているはずなのに、なぜ虐待してしまうのでしょう。親が子どもを虐待する場合、いくつかの異なる原因が重なり合っていると考えられます。親、子ども、親子を取り巻く環境、の三つの視点から考えられる原因をまとめてみました。
親に原因があると考えられるケース
親側にあると考えられるのは、大きく分けて三つの原因です。一つ目は育児に対する不安、二つ目は親自身の幼少期の体験、三つ目は健康不安です。これらが原因となり子どもへの虐待となって現れることがあると考えられています。
育児に不安を感じ、精神的に不安定
真面目で完璧主義の人ほど陥りやすいと言われるのがこのケースです。思い描いた理想の子育てがうまくいかないなど、自分の育児に自信が持てないなどでストレスを抱えていることがあります。また、産後うつ、育児ノイローゼ、アルコール依存などで精神的に不安定な状況から、自分をコントロールできなくなることも考えられます。
親自身が幼少期に虐待を受けた経験がある
親自身が幼少のころ、父母から虐待を受けていた経験は、その体験が成長してからも精神的なトラウマ(心的外傷)となり、自分の子どもへ同様の虐待をする原因となることが考えられます。また、人によっては、子どもへの接し方がわからなくなったり、虐待を愛情表現の裏返しと認識したりしてしまうなど、さまざまなケースとして表れることがあります。
育児による体力の低下や健康状態の悪化
子どもの誕生とともに生活スタイルは大きく変化します。今まで自分のためだけに費やすことができていた時間もなくなり、24時間態勢で子育てをしなければなりません。そのために睡眠不足などから体調を崩してしまうことがあります。また、出産前から体が弱かった人はさらに子育ての疲れが加わり、それらが養育力の低下や虐待へとつながる危険性があります。
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子どもに原因があると考えられるケース
子ども側にあると考えられる、三つの原因は、一つ目は育てにくい子どもであること、二つ目は子どもの病気や障害、三つ目はとにかく手がかかることです。これらが原因となり子どもへの虐待となって現れることがあると考えられています。
自分の子どもを育てにくいと感じるとき
子どもの生まれ持った性格を、育てやすい、育てにくい、と感じることがあります。例えばおとなしいママにとって元気な子は育てにくく、おとなしい子は育てやすい。反対に、元気なママにとって元気な子は育てやすく、おとなしい子は育てにくいと、全く反対の印象を持つことがあります。育てにくいのは子どものせいと一方的に決めつけるケースです。
子どもに先天異常の疾患や障害がある
子どもが未熟児で産まれたり、先天異常の疾患があったり、発達の遅れなどがあると、通常の子育てよりも子どものために費やす時間が多くなります。その結果、体力的にも精神的にも余裕がなくなり、ついイライラしたり、情緒不安定になったりすることもあります。また、まわりの人の心無い声なども、ストレスとなってしまうことがあります。
とにかく手がかかる反抗期などを迎えたとき
一般的に子どもの反抗期は2回あると言われています。2~4歳くらいのときに訪れる第一次反抗期は、俗に「イヤイヤ期」とも言われるように、見るもの聞くもの全てを拒否して親の言うことを全く聞かなくなります。今までとても物分かりのよかったわが子の急変ぶりに戸惑い、どう対応したらよいかわからなくなるケースです。
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小学生と高校生の2人の男の子の母です。海の近くに住んでいます。
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