生理の貧困とは個人の意識とも深く関わっている
学校や自治体などが、生理用品の配布をいくら進めても、各個人の生理に対する意識が変化しなければ、生理の貧困の根本的な解決は得られないと言われることがあります。つまり、生理の貧困には、物だけを提供することでは不十分なのです。
特に日本には、「生理は恥ずかしいもの」「生理の相談をするのは気が引ける」といった考え方が残っています。しかし、生理をタブー視すればするほど、悩みに声をあげることができにくくなるのも事実です。生理の貧困は公の支援だけではなく、同時に私的な支援も重視すべきだと言えるでしょう。
親が子どもに生理の固定観念を植え付けないこと
親はつい、「生理は病気ではないから、我慢すべき」「軽々しく生理のことを口にしてはダメ」などという自分の価値観を、子どもに伝えてしまうこともあるでしょう。しかし、親が子どもに生理の話をするときは、マイナスなことばかりを言わないように気を付けてください。
生理中はホルモンバランスの影響で、体調不良になったり、薬などの助けを求めなければならない場合もあるから、そういう時はきちんと相談するようにということは、しっかりと教えるのが大切です。
学校などで男女一緒の性教育も大切
学校などで、性教育を男女別で行っている場所もあります。そうすると、生理のことを男性に知られるのは恥ずかしいと感じるようになり、女性は「隠すべきもの」だと捉えてしまうこともあるかもしれません。一方、男性は男性で、生理の実情が分からないため、無頓着になりがちです。
しかし、男女一緒に性教育を行うことにより、生理は女性にとっては当たり前のものであり、周りの人も気遣う必要があることを理解しやすくなるので、性教育のスタイルも柔軟に変化させて行くことが期待されます。
生理の情報を積極的に入手できる環境を作る
自宅や学校、会社などに生理に関する本や冊子を堂々と置くことができる環境を整えるのも大切だと言えます。生理のことで迷ったり悩んだりした時に、そのような空間があれば、情報を収集し、新しい知識を得ることで生理への対処法を見出すことができるからです。
生理については日々研究が重ねられ、判明してくる問題も多いため、情報弱者にならないことが重要になります。
おわりに
生理は、女性だけの問題だと思っている人もいるでしょう。しかし、性別や年齢を問わず、生理の知識を身につければ、生理の貧困への意識がより深まるだけではなく、自分の家族や大切な人の状態を知り、必要な時はサポートをすることも可能になるのです。
そのような人が少しずつ増えて行くことで、生理の貧困も少なくなれば良いですね。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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